書き記せる「Kindle Scribe」は仕事にも使える? アマゾンのデジタルノートを試す

電子書籍が「読める」だけでなく、本格的なメモを「書く」こともできるアマゾンの新しい端末「Kindel Scribe」をハンズオン


ペン先の追従性能も悪くないし、鉛筆で紙に書いているような適度な抵抗感もある。ペンとマーカー、それぞれの細さ・太さを複数の段階から切り換えながら書ける。

長い文書を推敲しながら書くときには、テキストを切り貼りしたくなる。ところがKindle Scribeには手書きの文字をカット&ペーストにより移動させる機能がない。テキストのパラグラフを入れ替えたり、図版の微調整をしたい時に少し不便だ。

ノートブックのメモはPDFのデータファイルとして保存される。Kindle Scribeの画面上はグレースケール表示でも、PDFのデータ上には手書きの文字を色分けしながら書きたいが、今のところその機能がない。せめて黒と赤の文字が書き分けられたら、筆者の場合は校正ファイルのやり取りに本機が使いやすくなると思う。


ノートブックとして作成した手書きのファイルはPDFに変換してメールで送ることができる

アマゾンにとってKindle Scribeは初めての「書けるデジタルノート」だ。発売後には多くのユーザーか機能の改善や追加に関するリクエストも寄せられるだろう。可能なものから対応して、ソフトウェアアップデートによるブラッシュアップを実現して欲しい。


デジタルペンをホールドできるKindle Scribe専用カバーもアマゾンから発売される

タブレットとは別モノだが「おもしろいデバイス」


Kindle ScribeにはiPadやアマゾンのFire HDシリーズのように、ユーザーがアプリを自由に追加したり、動画や音楽を楽しむ機能はない。キーボードをペアリングしてデジタルタイピングによる長い文字を書く用途も想定していない。「タブレットとは別モノ」のデバイスとして捉えるべきだ。

だからこそ「電子書籍リーダーとデジタルノートを足した特殊なデバイス」として、iPadやタブレットよりも特化した使い方ができる。表示は目に優しく、書き味にも優れ、バッテリーが液晶タブレットよりも長く持つメリットがビジネスツールとして活きてくる場面もあるだろう。クリエイターはイラストの下書きにも使えそうだし、あるいは何度も繰り返し書いて・消せる経済的なデジタルノートとして学生にも勧められそうだ。自分が期待する用途にピタリとはまるデバイスなのか、機会があればぜひ実機を試して欲しい。

連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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編集=安井克至

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