書き記せる「Kindle Scribe」は仕事にも使える? アマゾンのデジタルノートを試す

電子書籍が「読める」だけでなく、本格的なメモを「書く」こともできるアマゾンの新しい端末「Kindel Scribe」をハンズオン


明るい画面。暗い場所でも読み書きができる


表示媒体として液晶ディスプレイと比べた場合、電子ペーパーには大きな2つの短所もある。

1つはバックライトを持たないため、暗い場所で文字が読みにくく、筆記もまた困難になることだ。アマゾンは約10年の間に展開してきたKindleシリーズのノウハウを活かして、Kindle Scribeには暗い場所でも電子ペーパーの画面が見やすいようにフロントライトを搭載した。フロントライトにはデバイスを利用する環境の明るさに自動調整する機能や、光の色温度を自由に選べる機能がある。夜間でも心地よく読み書きができる電子ペーパーとしてKindle Scribeはとても貴重なデバイスだ。

もう1つの短所は、カラー表示が苦手なことだ。カラー表示に対応する電子ペーパーも存在するが、現状ではまだモジュール(部品)として高価であることから、最終製品の価格にも跳ね返ってしまう。そもそも電子ペーパーは液晶よりも高価だ。Kindle Scribeは電子書籍リーダーのノウハウを活かしながら、製品の価格を手頃に感じられる範囲に抑えるため、16階調グレースケールの電子ペーパーを採用した。画素密度は300ppiと高いので、文字や図形など表示の精細感に富んでいる。

Kindleシリーズとしての「読む」機能も充実している


Kindle Scribeがとてもユニークなのは、電子書籍リーダーとデジタルノートの機能を兼ね備たデバイスであるところだ。筆者はソニーの「デジタルペーパー」という、電子ペーパーを採用するデジタルノートを長く仕事に使ってきた。本機は「書く」方の用途をメインにしているので、書籍をダウンロードして楽しむことはできないし、本機で何かコンテンツ「読む」ためにはとても手間がかかる。

一方、Kindle ScribeはWi-Fi機能を備えているため、デバイス単体でKindle電子書籍本ストアやKindle Unlimited、Prime Readingなど、アマゾンの電子書籍サービスにアクセスして、さまざまなコンテンツをダウンロードして読める。


Wi-Fi機能を内蔵。Kindle電子書籍ストアにアクセスして電子書籍などのコンテンツをダウンロードして楽しめる。音声や動画を再生する機能はないため、オーディオブックには非対応だ
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編集=安井克至

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