現在38歳の高は、民進党と最大野党・国民党の候補を退けて、台湾最年少の市長となった。
今回の選挙では21の市長及び知事のポストが争われたが、民進党は選挙前に7つ獲得していたポストを5つに減らした。これに対し、国民党は21のポストの過半数の13を獲得した。
8月にナンシー・ペロシ米下院議長が台湾を訪問し、蔡英文総統と会談したことで、台湾と中国の軍事的緊張が高まった。2400万人が暮らす民主主義国家である台湾は、世界第22位の経済大国だが、中国は台湾が自国の一部であると主張している。
蔡英文党首はこの選挙を「民主主義のための選挙」に位置づけ、中国の脅威を強調したが、台湾の有権者は主にパンデミック対応を含む地元の問題に焦点を当てたと政治アナリストは分析した。蔡党首は2024年の次期総統選挙には出馬できない。
フォックスコン創業者の支援
テクノロジー業界出身で台湾最年少の市長となる高は、新竹市の選挙で全体の45%の得票を獲得し、民進党のライバル(35.7%)に勝利したと報じられた。彼女が所属する台湾民衆党を2019年に設立した柯文哲(Ko Wen-je)は、アップルのサプライヤーとして知られるフォックスコンの創業者のテリー・ゴウ(郭台銘)と同盟関係にあるとされている。
ゴウは、2020年の台湾の総統選挙に無所属候補として立候補すると見られていたが、出馬の直前に立候補を見送っていた。
中央通信が報じたところによると、高は2019年、国民党の総統予備選でゴウの側近として政治活動を始めた後、ゴウの推薦を受けて台湾民衆党に加わったとされている。彼女は、それ以前に政府出資の情報産業研究所に勤務し、2018年にはフォックスコンの「ビッグデータ室」の責任者に就任していた。
今回の選挙でゴウが公に彼女を支持することはなかったが、高は選挙期間中にフォックスコンとの密接なつながりを強調したと、中央通信は伝えている。
新竹市の人口は約45万人で、TSMCやグローバルウェハーズ、UMCなどの大手半導体企業の本拠地として知られている。
台湾の中心都市の台北の有権者は、蒋介石のひ孫で野党・国民党の蒋万安(43)を市長に当選させた。敗れた民進党の候補の陳世忠は元保健相で、2年前は「台湾のファウチ博士」として高い支持を得ていたが、人気が落ち、国民が政府のコロナ禍対応にしびれを切らす中で落選した。
台湾と中国は、多くの点で異なるが、まもなく4年目を迎えるコロナ禍への政府の対応に不満を抱いている点では一致している。
(forbes.com 原文)