経済・社会

2022.11.28 12:00

トランプと会食した「Z世代の白人至上主義者」24歳の主張

Getty Images / ニック・フエンテス

ドナルド・トランプ前大統領は11月22日、ラッパーのカニエ・ウェストと会食したが、その場に白人至上主義者で悪名高い極右活動家のニック・フエンテスが同席していたことが激しく非難されている。

現在24歳のフエンテスは、ボストン大学に在学中だった2017年に、バージニア州シャーロッツビルで行われたオルタナ右翼の抗議集会「ユナイト・ザ・ライト」に参加したことで「殺害予告を受けた」と発言したことで、世間の認知度を獲得した。

フエンテスは2020年に極右団体の「アメリカ・ファースト政治行動会議(America First Political Action Conference)」を設立し、イスラエルを支援する共和党主流派を批判したが、マジョリー・テイラー・グリーン議員やポール・ゴーサー議員などの極右系の共和党議員には気に入られ、彼らのイベントで演説をするようになった。

ゴーサー議員はその後、2021年6月にフエンテスと会談した後に、「共和党は、意見の食い違いがあったとしても若い有権者にアピールすべきだ」と述べた。

強固なトランプ支持者であるフエンテスは、信者らに「すべての州議事堂を襲撃する」よう呼びかけ、2021年1月6日の暴動では信者たちを率いて連邦議事堂へ向かい、後にこの暴動を「最高」と呼んでいた。彼はその1年後に、議事堂襲撃事件を調査する下院委員会に召喚されていた。

今年2月の極右集会で講演したフエンテスは、ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領を応援し、ヒトラーの名を出して彼を称賛した。

米国最大のユダヤ人団体である名誉毀損防止同盟(Anti-Defamation League、ADL)は、フエンテスがSNS上で「反ユダヤ的で人種差別的な考え」を推進していると非難している。彼は、「白人のジェノサイド」によって白人の弱体化が進んでいると考え、メキシコとの国境を閉鎖することを支持している。また、LGBTQの権利の推進運動を、「ユダヤ人によるアメリカの信条の破壊」と呼び、「我々の文明は解体されつつある」と主張している。

ツイッターは、昨年12月に「度重なる違反」を理由にフエンテスのアカウントを凍結した。彼は、ユーチューブやレディット、TikTok、スポティファイ、フィンテックアプリのVenmoとストライプからも追放されている。
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編集=上田裕資

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