問題は、「景気後退は避けられない」という主張が、間違いであると同時に正しいことにある。正しい理由から説明しよう。
景気後退は必ず起きる
経済活動が続く限り、景気後退は常に避けられない。唯一の問いは、それがいつ訪れるかだ。2002年に景気後退は避けられないと予測した人の見方は、正しかったと言える。景気後退は必ず訪れるからだ。ただし、米経済が実際に景気後退に陥ったのは2007年だった。つまり、それまでの5年間にわたり好景気が続いたのだ。
今回もまた5年間も好景気が続くのかどうかは、分からない。5カ月かもしれないし、15年間かもしれない。しかし今回の場合、直ちに景気が後退することはなさそうだ。
CNBCの報道によれば、年末商戦の幕開けとなる25日の「ブラックフライデー」では、インターネット販売の売上高が91億ドル(約1兆3000億円)にも達し、前年比で2.3%増加した。中でも、ゲーム機やドローン、アップルのマックブック、ダイソン製品などの電子機器やおもちゃ類が好調だったという。
景気後退によって自分の仕事が危ういと思っている人は、マックブックやダイソンなど、必需品ではないぜいたく品に金を注ぎ込むだろうか? 恐らくそんなことはしないだろう。
エネルギー問題と失業率の改善
米国民にとって、他にも良いニュースがある。今年の冬は昨年よりも短い見通しで、暖房にかかる費用は懸念されていたほど高騰しない見込みだ。
また、米国における失業率は3.7%で、景気後退の懸念が高まる前の2月よりも低い。IT業界では大量解雇が相次いでいるが、それは一つの業界に限った話だ。好調なエネルギー業界で、突然に大量解雇が始まるなどと思えるだろうか?
米国は現在、ウクライナに対する軍事支援や、高まる中国との衝突の脅威に備えた軍事力強化のため、武器の製造を急ピッチで進めている。そうした中、防衛産業がリストラに動くとも思えない。
ブラックフライデーの盛況のニュースは、「差し迫った景気後退」の兆候がどこにも見られないことを明確に示している。
(forbes.com 原文)