コスタリカに敗戦 強くも弱くもない日本に必要なクラッキの存在

日本-コスタリカ戦に出場した鎌田大地(2022年11月27日撮影、Getty Images)

ぼくが常々言い続けてきたことは、日本はワールドカップ出場国の中で悲観するほど弱くはない、しかしそれほど強くもない、ということだ。組み合わせや運が良ければベスト8に進むことも、悪ければグループリーグでの最下位もありうる。

過去を振り返ってみれば、上位進出を期待された2006年のドイツ大会はあっけなくグループリーグで敗退、下馬評の低かった2010年南アフリカ大会、2018年ロシア大会ではグループリーグを突破してベスト16入りを果たした。

ワールドカップの優勝を狙える国と、日本のような中途半端な国の差は大きい。前々回このコラムでも書いたように、育成、国内リーグ、メディアのレベルなど全てが関係するサッカー国力が関わってくる

その中の1つの要素が、困ったときに点を獲れる「craque(クラッキ)」がいるかどうか。

勢いのあった日本代表だったが


クラッキとは、サッカー国力でおそらく世界一と思われるブラジルで使われている言葉で、ボルトガル語で「スター選手」を意味する。

ブラジル代表にはネイマール、アルゼンチン代表にはリオネル・メッシ、フランス代表にはエムバペ、少し落ちるがイングランド代表のハリー・ケーンを加えていいだろう。

コスタリカ代表が相手のグループリーグ第2戦の前半、日本代表は押し気味に試合を進めた。第1戦で7対0とスペイン代表に惨敗を喫していたコスタリカ代表は、勝利よりも2試合続けて無様な試合をしたくないと考えているようだった。

一方、第1戦でドイツ代表を破った日本代表には勢いがあった。いつ点を獲ってもおかしくはない試合展開だった。しかし、相手側のぐずぐずした試合に付き合い、無得点でハーフタイムを迎えた。

サッカー日本代表 GK権田修一
日本-コスタリカ戦 GK権田修一(2022年11月27日撮影、Getty Images)

後半、日本代表の失点は、キーパーの失策だ。直前の守備の乱れも含めて、緩慢な空気を吸い込み続けたツケとも言える。追い込まれた日本代表は、後半から入った三笘薫のドリブル突破などでチャンスをつくったがゴールを決めきることができなかった。
次ページ > ドリブラー三笘はクラッキ?

文=田崎健太

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事