ビジネス

2022.11.28

Amazonが広告で新たな攻勢 自動車メーカーや飲食店など「外来」企業も取り込みへ

Getty Images

アマゾンの2022年第3四半期(7〜9月)決算で、広告部門は数少ない明るい分野のひとつだった。売り上げは伸びていて、収益性も非常に高い。ただ、アマゾンはこのままだとその成長も鈍りかねないとみていて、すでに新たな広告市場の開拓に乗りだしている。

アマゾンは10月に開いた年次カンファレンス「unBoxed」で、いわゆるノンエンデミック(外来)ブランド向けに「スポンサーディスプレイ広告」という新たな広告タイプを発表した。ノンエンデミックブランドとは、アマゾンで言えばアマゾンのサイトで商品を販売していないものの、アマゾンのサイトや関連メディアに広告を出してくれる可能性のあるブランドのことだ。アマゾンの場合、自動車メーカーや保険会社、飲食店などがそれに当たる。

スポンサーディスプレイ広告は完全なセルフサービスで、最低出稿額も設けられていない。アマゾンのデマンドサイドプラットフォーム(DSP)と比べると、設定や掲載、管理が格段にシンプルになっている。この広告サービスの登場によって、ノンエンデミックブランドがアマゾンの巨大な広告エコシステムに広告を出すうえでの障害はほぼ取り除かれたと言える。

アマゾンはスポンサーディスプレイ広告などを用意することで、アマゾンの広告機能はもっぱら消費財ブランド向けだという思い込みを企業側に捨ててもらおうとしている。unBoxedでは、アマゾン・プライム・ビデオの新番組「The NFL Pile On」のスポンサーに、ノンエンデミックブランドのカーニバル・クルーズがついたことも大々的に発表された。

ノンエンデミックブランドの取り込みは、少なくともアマゾンの動画配信ではうまくいき始めているようだ。プライム・ビデオの番組「Thursday Night Football」や広告付き無料動画サービス「Freevee」では、保険会社のステートファームやガイコ、自動車メーカーのヒョンデ(現代自動車)などノンエンデミックブランドから多くの広告出稿を得ている。
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編集=江戸伸禎

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