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2022.11.26 08:15

時給1300ドルで「FTX破綻の後始末」を引き受けた63歳の評判

Getty Images

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11月初旬に破綻した暗号通貨取引所「FTX」の新CEOに任命されたジョン・レイは、17日の法廷提出書類の中で、「40年以上に及ぶキャリアの中で、これほど無残な企業統治の失敗と財務情報の欠如を見たことがない」と述べている。

現在63歳のレイは、企業再生のプロとして知られ、米国史上7番目に大きな倒産となったエネルギー会社のエンロンの破綻処理の陣頭指揮をとり、他にもサブプライムローン発行会社のレジデンシャル・キャピタルや、通信会社のノーテル・ネットワークスなどの案件を手がけてきた。

彼は、かつては320億ドル(約4.4兆円)の評価額を誇ったFTXの破綻騒動の嵐の中心に飛び込むことになった。関係者の間で「SBF」のニックネームで呼ばれるFTX創業者のサム・バンクマンフリード(30)が、「とんでもない失敗をやらかした」とツイートし、突然の辞任を発表した後の11日に、レイは同社の新CEOに任命された。

レイの仕事は、FTXの破綻の詳細を解き明かし、盗まれた暗号通貨を含む行方不明の資産を探し出し、事業の再編成や売却を通じてステークホルダーの価値を最大化することだ。FTXは先日、事業の売却や再編成の準備のために投資銀行ペレラ・ワインバーグ・パートナーズを起用したと発表した。

レイはこの仕事を引き受けて以来、午前9時半と午後6時の1日2回、週7日体制で弁護士や会計士とミーティングを行っている。再建顧問会社アルバレス&マルサルの申告書によると、レイはこの仕事で1時間あたり1300ドル(約18万円)の報酬と必要経費の支払いを受けている。

ハーバード・ロー・スクールで、企業の破産を専門とするジャレッド・エリアス教授は、「彼は、この分野できわめて優秀な専門家の一人だ」と話す。「レイは、最悪の状況に飛び込んで、債権者のために最良の結果を出した実績がある」

腕利きの「掃除屋」


そのような役割を担う人物にふさわしいキャラクターのレイは、インターネット上での足跡をほとんど残していない。彼の唯一のパブリックな写真は、15年前にシカゴ・トリビューン紙に掲載された一枚のみだ。ツイッター上でFTXの破滅を記録しているAutism Capitalは、冗談交じりにこう指摘している。「ジョン・レイは、映画『パルプ・フィクション』に登場する殺人現場の“掃除屋”のザ・ウルフの企業版みたいなものだろう。会社の混乱を一掃する彼は誰にも何も話さずに、夕日の中に消えていくのみだ」

FTXの広報チームは、レイがフォーブスの取材に応じることを拒否したが、レイはプロセスの細部に入り込み、特別に編成したチームで迅速に行動することで知られている。FTXの業務で彼は、事業を4つの部門に区分けし、それぞれの部門で輝かしい経歴を持つ独立取締役を任命した。

2007年のシカゴトリビューンによると、レイはマサチューセッツ州で配管工を務める父と専業主婦の母親のもとで育った。マサチューセッツ大学アマースト校を卒業した彼は、1982年にアイオワ州のドレイク大学で法律の学位を取得し、シカゴの法律事務所Mayer Brownでキャリアをスタートさせた。その後、Waste Management社とその関連会社の顧問弁護士として、民事及び刑事訴訟を担当した。

彼が企業破産に関わったのは、1999年に多額の負債を抱えて倒産した下着メーカーのフルーツオブルーム社が最初だった。レイは、最高法律顧問として、連邦破産法第11条の手続きに関する「すべての側面」を管理したとされる。
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編集=上田裕資

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