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2022.11.27

薬やサプリの容器を堆肥に、プラごみ削減に取り組む米スタートアップ

Getty Images

プラスチック廃棄物にとって「リサイクル」が完全な解決策ではないことは、ますます明白になりつつある。まず、リサイクル施設の多くには、廃棄物を選別するのに十分な機能が備えられていない。

また、理論上は堆肥化が可能なプラスチックでも、処理業者の多くは実際のところ、それらを堆肥化することができていない。さらに、製造業においては経済的な理由から、新品のプラスチック製品の方が優先されている。

こうしたことから、プラスチック製品は大量に、埋立地や焼却場へ運ばれ続けている。さらに悪いことに、一部は一般のゴミとして廃棄されている。マイクロプラスチックは環境汚染物質として広がっており、すでに母乳からも検出されている。

こうした問題に、それ一つで対応可能な“解決策”はない。だが、解決につながる可能性があるさまざまなイノベーションは、さまざまな形で推進されている。その興味深い一例として挙げられるのが、米国のスタートアップ、キャビネット・ヘルス(Cabinet Health)の取り組みだ。

医薬品やサプリメントなどは通常、使い捨てのプラスチック製のボトルに入れて販売されている。そして、昨年中に消費者の手元にわたったそれらのボトルの数は、1900億個を超えたと推定されている。そのうちリサイクルされるボトルは、わずか3%にも満たないとみられており、ボトルの大半は埋立地に運ばれ、処理されている。

キャビネット・ヘルスはこうした医薬品やサプリメントを購入する消費者に、再利用可能でより魅力的な、積み重ねて収納することも可能なデザインの容器を提供している。

さらに同社は、木材パルプ製のパウチ(袋)を購入し、追加した医薬品などを消費者が自ら詰め替えるという選択肢を提供している。同社のパウチは堆肥化可能であることを証明する認証を取得しており、自宅の裏庭などにコンポストがある人は、パウチを埋立地に送る必要がない。堆肥化可能な廃棄物を分別して回収している自治体が、堆肥に代えることもできる。
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編集=木内涼子

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