2022年米中間選挙の結果が市場に与える影響

バイデン米大統領 / Getty Images

市場は、政治が膠着状態にあることを好みがちだ。2022年の中間選挙を経て、米国の政治はまさにそのような状況になった。

共和党が下院の支配権を取り戻した一方で、政権与党の民主党は上院の多数派を維持した。民主・共和の両党が権力の座を分け合う形になったことで、実行に移される政策の数が少なくなることが予想される。とはいえ、債務上限をめぐる議論や、大麻の合法化から学生ローン返済免除に至るさまざまな政策上のトピックが、市場、そして経済全般に影響を与える可能性はある。

権力の「ねじれ」現象は、市場にとって追い風に


株式市場は、中間選挙前後の時期に上昇気流に乗りやすいことが、研究によって判明している。実際、2022年も9月末に底値をつけてから回復を見せており、すでにその傾向が現れ始めていると言えるかもしれない。このような現象が起きる理由は単純で、政治がねじれ状態にある場合には政策がなかなか実行に移されず、市場がこうした「安定」状態を好むからだと考えられている。

それでも大きいFRBの影響力


ただし、政治状況は重要とはいえ、FRBの影響力はさらに大きい。政策金利を決定する連邦準備制度理事会(FRB)会合の2023年スケジュールが市場に与える影響が、政界に関するニュースの影響を下回るような事態は考えにくい。

債務上限が、市場のリスク要因の一つに


政界のねじれ状態における問題の一つは、債務上限の引き上げに、非常に複雑な手続きが必要になる点だ。債務上限は、遅くとも2023年内には引き上げの必要が生じる。これが順調に行われない場合は、金融市場にとってのリスク要因になりうる。

2023年1月以降、下院で多数派となる共和党は、債務上限の引き上げを阻止する可能性が高く、ここが影響力を発揮するポイントとなるだろう。また、民主党所属のジョー・マンチン上院議員も、上限引き上げの前に予算カットを行うのが望ましいとの考えのようだ。

2011年の債務上限引き上げ


2011年夏に起きた、債務上限引き上げをめぐる議論は、このリスクを浮き彫りにしている。この時も、中間選挙が権力のねじれを生んだ後に起きた混乱だった。瀬戸際政策が行使され、米国債が格下げされ、市場は10%以上急落した。

ただし、その後も債務上限は何度も引き上げられたが、2011年よりはるかに穏やかに妥結に至っている。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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