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2022.11.25 14:00

野生動物が拷問を受ける動画が数百億回もソーシャルメディア上で再生されている


SNSでの動物虐待動画問題は、今に始まったことではない。SMACCは、ソーシャルメディアにおける動物虐待のさまざまな側面についての複数の報告書を発表している。その中には、動物たちを意図的に危険な状況に追い込んで、動画用に偽の救助を行う偽救助動画の傾向についての調査結果も含まれている。

SMACCによると、Metaは1年以上前から同NPOと協力しており、2022年6月には、ペットのマカクザルのように捕獲した霊長類を映し出したコンテンツにフラグを立て、モデレーターに偽の救出ビデオを識別するトレーニングを行う取り組みを開始したという。また、TikTokは2022年8月からSMACCと初期的な連携を開始している。

2021年10月、動物虐待に反対する非営利団体レディフリーシンカーの創設者であるニナ・ジャッケルは、動画に映る動物が搾取され、それを取り下げることなく利益を得ているとしてYouTubeを告訴した。2020年、にレディフリーシンカーが調査を行ったところ、動物に対する有害な行為を映した2000本ものYouTube動画が発見された。これらの動画は、そのほとんどがYouTubeのコミュニティガイドラインに違反しており、再生回数は10億回を超えていた。レディフリーシンカーは、これらの動画がYouTubeクリエイターに1500万ドル(約20億8000万円)、YouTube自体には1200万ドル(約16億6000万円)の利益をもたらしたと見積もっている。レディ・フリーシンカーがYouTubeにこの調査結果を連絡したところ、何の反応も得られなかったため、訴訟に至ったとジャッケルはいう。

ジャッケルはフォーブスに対して「捕獲した赤ちゃん猿を映しているなどの、フォロワーの多いYouTubeチャンネルを重点的に探し出し報告しています。そして、YouTubeはこれらの動画の冒頭で非常に頻繁に広告を再生していることがわかりました。このためYouTubeは間違いなくこれらの動画でお金を稼いでいる筈です」と語っている。

SMACCのオブライエンは、YouTubeやMetaなどのソーシャルメディア大手が、プラットフォーム上の動物虐待動画の大部分に責任を持ち始めて、野生動物対する露骨な身体的虐待だけでなく、より微妙で心理的な方法による有害な動画も取り下げるようになることを期待している。

「非常に辛く、苛立たしく感じるときもあります。動物虐待の動画が急速に増えている一方で、進歩は本当に遅いのです」と彼女は語る。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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