Social Media Animal Cruelty Coalition(SMACC、ソーシャルメディア動物虐待防止連合)の報告書によれば、野生動物が虐待され、ペットとして飼われている様子を映した動画が、Facebook、YouTube、TikTok(ティックトック)、Instagram(インスタグラム)などのソーシャルメディア上で百億回以上も再生されているという。たとえば2021年9月から2022年9月の間に、マカクザル、トラ、ライオンなど絶滅の危機に瀕した野生動物が人間に肉体的・精神的に苦しめられる様子をとらえた動画は840本見つかり、その再生数は合計118億回に及んでいる。
この報告書は、Animals for Asia Coalition(アジア動物連合)やWorld Animal Protection(世界動物保護協会)を含む、世界的な13の動物保護団体の連合によって作成されたが、その中では人間が野生動物を「叩く、殴る、噛む、揺する、打ち倒す」といったやり方で肉体的にも精神的にも苦しめている不穏な映像が報告されている。映像の多くでは、こうした野生動物がペットとして飼われている様子を映しているが、それ自体が虐待であり傷つける行為だ。収集された動画のうち、約60%がFacebook、約25%がYouTubeで発見されている。動画を集めた50人のボランティアグループも当該動画をプラットフォームに報告したが、SMACCが2022年10月にデータを分析するまでに、削除された動画はなかった。
Meta(メタ、Facebookの親会社)の広報担当者であるジェン・ライディングスはこの報告書に対し、同社はコンテンツを検討し、違反するコンテンツには対策を講じると述べている。Metaの禁止する暴力的で生々しいコンテンツに関するポリシーには、動物に対する露骨な身体的危害や虐待も含まれている。しかし、コンテンツの監視をコミュニティからの報告、テクノロジー、および人間のレビュアーに依存している同社は、野生動物をペットとして表示するコンテンツに関するポリシーを持っていない。
TikTokは、野生動物の違法取引や動物虐待を助長するコンテンツを禁止する自社のコミュニティガイドラインを引用して反応している。またYouTubeのスポークスマンであるジャック・マロンは、YouTubeのポリシーは動物に故意に身体的危害を加えるようなコンテンツを禁止しているという。「フォーブスから提示された動画は当社のポリシーに違反していませんが、当社はコミュニティガイドラインに違反するコンテンツの削除に取り組んでいます」とマロンは電子メールで答えた。
それらの動画のうちの64%は、マカクザルの赤ちゃんやスローロリスなど、国際自然保護連合が定義する絶滅危惧種が登場する動画だった。