2000人の目利きが集まる3年に1度のイベント
お目当ては、「ケープワイン」というワインの見本市だ。3年に1度、3日間にわたり南アフリカの首都ケープタウンで開催されるこのイベント。何がすごいかといえば、南アフリカじゅうから400以上のワイナリーが一堂に会し、世界60カ国から2000人弱のワインのプロが目利きにくる。いわば南アフリカワインのお祭りだ。昨年はコロナ禍で延期されたため、4年ぶりとなった会場はひときわ熱気にあふれていた。
商談はメリーゴーランドで?
まず驚いたのが、会場の装飾の派手なこと。ファンシーなメリーゴーランドの中で大人達がマジメに商談している。
志を同じくする生産者たちが集まったコーナーもあり、なかでもひときわ目立っていた集団が「ZOO CRU」──“その土地のワイン”に焦点を当てた生産者たちだ。この後何度となくこのブースを通ることになるが、いつ見ても人だかりで、さながら動物園の様相。生産者たちはなぜか1970年代のパーティー・コスチュームに身を包んでいる。
ちょっぴりおふざけな集団だが、ワインはとにかくセンスが良い。特にZOO CRUの長でもあるダンカン・サヴェージは、飲み手だけでなく造り手も「よぅダンカン! 流行ってるねぇ!」と冷やかしに来るほどの愛されキャラ。引っ張りだこのはずなのに、筆者がおずおずグラスを差し出せば、満面の笑みで丁寧に説明してくれる。ワインのネーミングも「never been to asked to dance(ダンスに誘われてない)」「thief in the night(夜のどろぼう)」などと詩的で美しく、それをダンカン自ら注いでくれるものだから、もう落涙寸前だ。