サウンドバーガーの正体は持ち運びができるポータブルアナログレコードプレイヤーだ。価格は税込2万3800円。アニバーサリーを迎えたオーディオテクニカが、1980年代に人気を博した同名商品を約40年ぶりに復刻したのだ。
長手方向のサイズが約30cm、質量は約900g。スマホで音楽を聴くことが当たり前になった時代に、屋外でアナログレコードを歩きながら聴く人はいないと思うが、室内で自由に置き場所を変えたり、レコードといっしょに友人宅やイベントスペースに持ち出して聴く使い方ができる、高い可搬性能を本機は持ち合わせている。
アナログブーム再燃。背景には多様な音楽の聴き方を求める市場の声
筆者がまだ子どもだった1980年代は、音楽用の記録メディアといえば安価で気軽に使える磁気カセットテープが主流だった。間もなく誕生したCD(コンパクトディスク)は音質の劣化がなく頭出しも手軽なことから、瞬く間にカセットテープやアナログレコードから「主流」の座を奪った。そして現在は多くの方がインターネットからストリーミング、あるいはダウンロードして音楽を聴いている。
アナログレコードブームが再燃しているといわれる。筆者が記憶する限り、最初のアナログレコードのリバイバルは1990年代後半から2000年代前半だった。当時は「音質劣化がなく音がいい」はずだったCDなどのデジタルメディアよりも、やはりアナログレコードの方が環境を整えれば高品位なサウンドが楽しめることに着目したオーディオマニアがアナログレコードの復権を支えた。
その後は2010年前半代に巻き起こった、インターネット経由でCDを超える高音質な音楽再生を楽しむ「ハイレゾリューションオーディオ」のブームを経て、2010年代後半から2020年代に突入する少し前から「第2のアナログ復活の波」が訪れた。
2010年代からはCDを越える高音質な「ハイレゾリューションオーディオ」の人気が台頭。ポータブルオーディオプレイヤーで楽しめる手軽さも若い音楽ファンの関心を引いた
最近のアナログレコードブームはこれを支えるファン層の様相が少し違うようだ。
筆者が以前に取材したある音楽制作の業界関係者によると、現在、「音楽好きによる音楽の聴き方が多様化している」のだという。特に海外に比べて、日本国内ではまだレコード店でCDが扱われているし、そのCDの音質を超えるハイレゾリューションの技術をハードとソフトの両側で盛り上げているのが日本のマーケットだ。