ロイド・ウェバーの新ミュージカル『バッドシンデレラ』はなぜ「バッド」なのか

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つい先月、アンドリュー・ロイド・ウェバー(『ジーザス・クライスト・スーパースター』『エビータ』『キャッツ』『オペラ座の怪人』『サンセット大通り』などを手がけた作曲家)がニュヨークのインペリアルシアターの看板の前に立ち、ブロードウェイの新作公演の到着を祝うためにここに来たのだと聴衆たちに宣言した。

新作の名は『バッドシンデレラ(Bad Cinderella)』だ。

そのブロードウェイ版アンドリュー・ロイド・ウェバーのミュージカル「バッドシンデレラ」でシンデレラを演じるのがリネディ・ジェナオだ。

古典童話を現代風にアレンジしたこの作品は、ロイド・ウェバーの75歳の誕生日の翌日、米国時間2023年3月23日にブロードウェイのインペリアルシアターで上演が始まる。そしてロイド・ウェバーは、主役を演じるリネディ・ジェナオという女性を紹介すること以上に、すばらしい誕生日プレゼントはないだろうと語った。

ロイド・ウェバーといっしょに演壇に立ったジェナオは「アンドリュー・ロイド・ウェバーさん、すばらしい紹介をありがとうございます。人生で、こんなセリフを言える日が来るなんて思いもしませんでした」と語った。彼女はこのニュースを8カ月に渡って秘密にしなければならなかったのだ。「1つだけ、お伝えしたいことがあります。私はシンデレラではありません。バッドシンデレラなんです」

ベルヴィルというのどかな王国を舞台にしたこのシンデレラは、ただ救いを待つ悩める乙女ではない。彼女は王子といっしょに新たな境遇に身を置き、2人は「happily ever after」(「末永く暮らしましたとさ、めでたしめでたし」)の本当の意味を考え直すことになるのだ。

まるで『バッドシンデレラ』の歌詞のように。

「私はバッドシンデレラ / 自分だけのスタイル/ あなたのために変えたりしない/ 私はバッドシンデレラ/ 高く1人で飛んで/ あなたなんか置いてきぼり」


(左から)リネディ・ジェナオ、アンドリュー・ロイド・ウェバー、プロデューサーのクリスティン・シュワルツマン(Getty Images)

バッドシンデレラでは、音楽をロイド・ウェバーが担当する他に、脚本は『Promising Young Woman』(プロミシング・ヤング・ウーマン)でオスカーを受賞したエメラルド・フェネル、作詞はデイヴィッド・ジッペル 、演出はローレンス・コナー、振付はジョアン・M・ハンターが担当する。バッドシンデレラは、ブロードウェイのNo Guarantees(ノーギャランティーズ)とReally Useful Group(リアリィユースフルグループ)が制作し、Wagner Johnson Productions(ワグナージョンソン・プロダクションズ)がエグゼクティブプロデューサーを務めている。
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翻訳=酒匂寛

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