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2022.11.26

インド人監督による日本映画『WASABI』、クラファンで募集中

プレスリリースより

映画大国インドの大手メディア企業に勤めた後、日本で映像作家として活動するインド人映画監督ヘマント・シンの初の長編映画作品のためのクラウドファンディングが始まりました。顔に傷のある女性を描いた作品『WASABI not a fairly tale』です。「いじめやヘイト、そして暴力によって心深く傷ついた少女が仲間の存在に助けられ、成長していくヒューマンドラマ」とのことです。

インド映画と言えば、『RRR』が世界的大ヒットとなり話題ですが、ハリウッド映画とはまったく異なる、その独特な作風に日本でも根強い人気があります。インドは世界一映画の制作本数が多い映画大国です。1913年に初の国産映画が作られて以来、インドは映画産業の振興に注力し、1971年には制作本数で日本を抜きました。2005年にアメリカを抜いてからはずっと世界一の座を維持しています。ちなみに、2017年の制作本数は、日本が594本、アメリカが660本なのに対して、インドは1986本と桁違いの多さです。

近年、動画配信サイトによって世界的にインド映画の認知度が高まり、インド以外でのインド映画の上映機会が増えてきました。日本でもインド映画配給会社SpaceBoxが2019年から「インディアンムービーウィーク」を年1回開催し、インド映画を紹介しています。これまで10本ずつの上映でしたが、今年は28本に増えました。それだけインド映画への注目度が高まっているいうことでしょう。



インド映画と言えば、1995年に日本でも大ヒットした『ムトゥ 踊るマハラジャ』のような派手な衣装や歌と踊りが詰め込まれた華やかな娯楽映画の印象がありますが、シン監督の『WASABI』は、またそれとは違った雰囲気の社会派の物語となります。主演は小池樹里杏。監督はこう話しています。「本作品は目的は、 対極するHate(ヘイト)とKindness(親切心、優しさ)という要素を誰が持ち合わせていること、そしてこの2つが人、社会にもたらすインパクトの大きさ、しかしながらKindnessこそが私たちすべてに必要不可欠であるとオーディエンスに伝えることです」。また「世の中から少しでもヘイトを減らすこと」を目指すという監督は、ガンジーのこんな言葉を引き合いに出しています。「世の中に変化を求めるなら、あなた自身がその変化そのものに成りなさい」



クラウドファンディングプロジェクトは、Motion Galleryで行われています。目標金額は400万円。95パーセントまで撮り終えていますが、残りの撮影と、ビジュアルエフェクトなどの撮影後の処理工程に資金が必要となっています。インド人監督が日本映画に新しい風を吹き込んでくれることを期待したいですね。

文 = 金井哲夫

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