ビジネス

2022.11.23 18:00

バレエから学ぶビジネススキル「白鳥の目」によるメタ認知

Forbes JAPAN編集部
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気づけば仕事にも効いているバレエ


軽い気持ちで始めたバレエだが、いつの間にか仕事にも思わぬ効果をもたらしてくれている。

例えば企画やプレゼン。昔は闇雲にこなしていたが、バレエを習い始めてからは自然と「これを相手はどう受け取るか」を意識するようになり、企画やプレゼンが「わかりやすい」と言われるようになってきた。また、チームで仕事をするとき。チーム全体のなかで自分がどう動くべきか、みんなが目指している方向性がズレてないかをおのずと意識するようになってきた。

仕事やプロジェクトによってチームを構成する人や私の役割も異なるので、時にはまとめ役に徹したり、にぎやかし係(!)になったりと自分の役割を考えて振る舞えるようになってきたのだ。そして、相手(お客様)や全体のフォーメーションを意識し、物事を俯瞰できるようになってきたある日、ふと「これこそが、ビジネスシーンでよく耳にする“メタ認知”だ」と気づいた。

メタ認知は、「モニタリング(自己をチェックすること)」と「コントロール(自己の行動を修正すること)」の繰り返しでそのスキルが上がっていくといわれている。バレエで鏡の向こうのお客様を意識することはまさに「モニタリング」だし、フォーメーションの美学に沿うことはまさに「コントロール」だ。よくビジネス書では、モニタリングとコントロールの方法として日記や瞑想、コーチングなどが挙げられる。

しかし私は、それをした結果どこまで俯瞰できるようになるのか、正直疑問に思っている。身体性を伴いながら、概念そのものを体にたたき込めるバレエのほうがよっぽど効く。

さあ皆さん、いますぐバレエシューズを履いて踊りましょう! とは言えないが、ぜひ観ることからでも始めてほしい。素晴らしいパフォーマンスのそれぞれに、しっかり「鏡の向こうのお客様」と「フォーメーションの美学」が効いていることがわかってくると思う。

そして、このバレエによるメタ認知は、特に新人リーダーの皆さんに参考にしてもらえたら、と思う。リーダーとは、とかく人からその振る舞いを見られ、自身もその一員であると同時に全体のフォーメーションを組むことが役割だからだ。最初はみにくいアヒルの子かもしれない。しかし、バレエによるメタ認知のエッセンスを取り入れながら、ぜひ白鳥となって美しく舞ってほしい。


電通Bチーム◎2014年に秘密裏に始まった知る人ぞ知るクリエーティブチーム。社内外の特任リサーチャー50人が自分のB面を活用し、1人1ジャンルを常にリサーチ。社会を変える各種プロジェクトのみを支援している。平均年齢36歳。合言葉は「好奇心ファースト」。

野田千尋◎マーケター。電通Bチーム内「アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所」所属。大学時代は教育行政学を専攻。社会人になって始めたバレエ歴は今年で17年目になる。

本連載で発表しているすべてのコンセプトは、実際にビジネスに取り入れられるよう、講演や研修、ワークショップとしても提供しています。ご興味ある企業の方は、Forbes JAPAN編集部までお問い合わせください。

文=野田千尋 イラストレーション=尾黒ケンジ

この記事は 「Forbes JAPAN No.095 2022年月7号(2022/5/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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