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2022.11.25

高城剛×四角大輔 2028年以降の大変革時代を生き抜くサバイバル術

長年日本に居を持たず、自律分散的な生き方を続ける高城剛氏(左) 四角大輔氏(右)


高城:近未来に起こる出来事のドキュメンタリーのつもりで作ってるのですが、ぼくはカウンターカルチャーの洗礼を受けて育ったんです。1960年代後半から70年代にかけて、ハリウッドに対抗したアメリカン・ニューシネマと呼ばれる文化がありました。

ジョージ・ルーカスやフランシス・フォード・コッポラが、ハリウッドからサンフランシスコに移って映画を撮っていた。そこで大成功したのが「スターウォーズ」だった。

四角:スターウォーズってもともとはオルタナティブだったんですね!

高城:今でこそディズニー帝国に買収されましたが、当時のアメリカン・ニューシネマは、低予算でも自分たちの資金で自分たちならではの世界観を生み出していて、表現の自由がありました。残念ながら、YouTubeには表現の自由を感じません。

じゃあ今、YouTubeにできないこと、アメリカにできないことって何だろうと考えた時に、キューバで映画を撮ることだった。なぜなら、基本的にアメリカ人はキューバで撮影できないから。ハリウッドができないことをやりたかったんです。

四角:カウンターやオルタナティブこそが、高城さんに息づいている主義。そして、アメリカに国交断絶されたことでオーガニック大国になったキューバは、存在自体がカウンターですね。

高城:僕は単なる便利をイノベーションと呼び変える風潮にまったく興味ありませんが、いつの時代もカウンターカルチャーに興味があるんです。

例えばスタートアップの企画書とかたくさんもらうんですけど、どれもカウンター精神も気骨もありません。ミッションとかゴールとか書いてあるのは、まず見ない。だって、本当のゴールは上場だったりするんでしょうから。

第一、企画書に書けるようなものが面白いわけがないので、口頭で言ってください、と。ここだけの話なんですけどね、という話こそが面白いのであって、そこにこそ本物の未来があります。

文明を大きく前進させる可能性があるのは、人から怪しいと思われるゾーンにあるんですよ。既得権の人たちが黙ってませんので、怪しいとタグ付けされるんです。それに立ち向かうのが、カウンターカルチャーです。



四角:そして今や、民主社会主義こそが、資本主義のカウンターカルチャーですよね。成長拡大病というマキシマリズムではなく、ミニマリズムこそが現代のオルタナティブ。

高城:資本主義のカウンターになるかどうかはわかりませんが、ひとつの大きな潮流になるでしょうね。確かなことは、多様化というか分散。今までから見たら「分断」なんですが、次から振り返ってみたら「分散」なんです。

だから、いまのうちにあらゆるものを分散しておく。インターネットで生きているんだから、仕事、資産、家、時には家族?!すべてを軽くして、分散なんでしょうね。

四角:家族……それ、怒られるやつですね(笑)。ぼくもミニマル主義、分散スキルをさらに極めて、来たる世界の大変革期をサバイブしていきたいと思います。


高城剛◎映画の製作から配給までを行うNEXTRAVELER代表。芥川龍之介の「報恩記」を原作に、全編キューバで8K撮影した『ガヨとカルマンテスの日々』を、初の長編映画監督作品としてリリース。『BIO HACKING』(NEXTRAVELER BOOKS)、『いままで起きたこと、これから起きること。』(光文社新書)など、著書は累計100万部超え。

四角大輔◎執筆家、森の生活者、Greenpeace Japan&環境省アンバサダー。ニュージーランドの湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフと、世界を移動しながらの働き方を両立。10年以上前から、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を実践。著書『超ミニマル主義』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』他多数。

文=国府田 淳 写真=小田駿一

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