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2022.11.23 08:30

スタンフォード大学の挑戦文化を支える超大物たち 彼らの共通姿勢とは

Getty Images


──熊平さんがスタンフォードでやりたいことは何ですか
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気候変動の解決策を見つけ実行することです。そもそもスタンフォードに来た理由は、残りのキャリアすべてを賭けるに値する課題を定義し、解決に向けた仮説を作ることでした。

気候変動は、人生をかけてチャレンジしたい分野。ファイナンス、社会起業、気候変動分野での自分の経験やスキルが生かせると考えています。一方で、多面的かつ重層的な課題がほとんどで、議論をするよりも「答え」を見せることで流れが一気に変わる分野だとも感じています。

例えば、NASAの宇宙プログラムの高コスト構造は、議会や専門家の間で20年ほど議論されていましたが、イーロン・マスクが実際に民間の力でロケットを飛ばしたことで、一気に流れが変わりました。
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──日本の若者に向けて伝えたいことはありますか?

日本だけでキャリアを考えるのではなく、自分の興味に合わせて世界を舞台に考えてみるのが良いのではないでしょうか。我々の世代はギリギリ日本が経済大国であった頃の恩恵を受けていますが、人口、経済規模、産業などあらゆる点でそうした前提は揺らぎつつあります。

自分は中学の卒業式で「日本は国力に見合った貢献を世界の未来に果たしてきただろうか」と答辞を読んだのですが、今なら「日本」を主語にすることが正しいのか疑問です。

日本と世界という二項対立に囚われず「自分がやっていることが人々の未来にどのように貢献しているか」を考えることが大事だと思います。「どこでやるか」と「どこまでやるか」はあくまで結果論ではないでしょうか。

取材後記


私がシリコンバレーに来て驚いたことの1つに、シニアのエネルギーと清々しさがありました。デニムにスニーカーで背筋を伸ばし、今にも駆け出しそうなエネルギーに満ちているシニアに多く会います。また、どんなに実績があっても、壇上から過去を語るのではなく、平場に下りて未来を語ろうとする姿勢に感銘を受けました。

日本のシニアの皆さん、若者と向かい合うのではなく、平場で一緒に前を向きませんか?私も立派なシニア世代として、彼らと一緒に前を向いて行こうと思います。それが日本の、世界の未来を良き方向に変えることに繋がるのでしょうから。

※この記事はジャーナリスト尾川真一(フルブライト奨学生)とともに取材しました。


熊平智伸(くまひら・とものぶ)◎ブラウン大学国際関係学部卒業(最優秀論文)。三菱商事でプライベートエクイティ投資や新規ファンド開発に携わったのち、ケニアの林業スタートアップKomazaを経て、日本人初のナイト・ヘネシー奨学生として2022年にスタンフォード大学経営大学院に入学。ボッシュ財団GGF Fellow、Acumen East Africa Fellow。

文=芦澤美智子、尾川真一 編集=露原直人

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