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2022.11.23 08:30

スタンフォード大学の挑戦文化を支える超大物たち 彼らの共通姿勢とは

Getty Images


奨学生は、特別プログラム(King Global Leadership Program)に参加し、リーダーシップ・セッションや、学際的テーマのセミナー、海外視察など、多面的なトレーニングを受ける機会が与えられます。奨学生専用の建物が用意され、週に数時間、プログラムのために集まります。奨学生同士がプロジェクトを立ち上げる場合には、資金やネットワークなどさまざまな支援を受けることもできます。

実際、9月の入学以来、交流は活発。突出した実績を持つ学生が、好奇心を全開にして物事に取り組んでいる様子は、刺激とプレッシャーになります。

ちなみに、ジョン・ヘネシー氏自身もプログラムに参加していて、時には奨学生と一緒に学ぶ側に座っています。ストーリーテリングのクラスで、3分間スピーチをしてお互いにフィードバックをするというセッションでは、ジョン氏も同じテーブルの参加者に交じってスピーチをし、学生からフィードバックを受けていました。

年齢も実績も圧倒的に上回る大人が、若者と一緒の視線で取り組む姿は、日本では見たことがありません。でもスタンフォードでは、誰もが「未来を創る」同志です。年齢も過去の実績も関係なく、可能性を信じてみんなが同志として前に進む。これがスタンフォード大学という場所が新しいものを生み続ける魔法だと思いました。

「早く起業しなさい。応援するから!」


──スタンフォードがこれほど多くの起業家を生み出す理由は何だと思いますか?

本気で変化に挑戦する人をとことん受け入れ、応援する文化があります。

例えば、私が入学してすぐ、サステナビリティ学部の発足パーティーがありました。そこに、この新学部設立のために11億ドル(約1600億円)を寄付したジョン・ドーア氏が座っていました。ドーア氏に話かけに行ったところ、「君はナイト・ヘネシー奨学生なのか。早く起業しなさい。応援するから!」と言われました。

熊平智伸氏
熊平智伸さん(撮影=高梨良子)

ドーア氏は世界でもトップレベルのベンチャーキャピタル「クライナー・パーキンス」の会長でもあり、グーグル、アマゾン、ツイッターなどの創業間もない時に投資し発展を支えた人として有名です。そんな人が私の話しかけに応じ、応援すると言ってくれるわけです。

ほかにも、セコイア・キャピタルのダグ・レオーネ氏など、伝説的な人物が、気さくに学生や起業家に声を掛ける場面に何度も遭遇しました。彼らに共通するのが、自分たちが解決できなかった課題に取り組む「未来」そのものとして、若い世代に向き合う姿勢です。

自分が成功したから応援してあげるという、上から目線ではありません。むしろ教えを請うように“Tell me what you need”という姿勢で接してくる印象があります。もちろん、最終的には結果で生き残らなければならない真剣勝負の環境なのもまた事実ですが「まずは応援する」というカルチャーをあらゆる面で体感しています。そりゃあ、起業家が生まれますよね。
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文=芦澤美智子、尾川真一 編集=露原直人

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