自然に没入し、自分を解放する 辺境へのクルーズ旅という選択

ポナン社のタヒチ周遊クルーズにて


思いのまま過ごす健康的な日々


私の一日の過ごし方はこんな感じだった。6時半頃に目を覚まし、デッキで日の出を拝みながら深呼吸し、WabiYogaという体の軸を整えるトレーニングを軽く行う。



7時に朝食後、朝一番のテンダーボートでその日の島へ。半日ほどのエクスカージョンに出る日もあれば、プライベートビーチで気の向くままに泳いだりスノーケルを楽しむ。ぼーっと過ごすのも、精力的に島の生活を見て回るのも思いのまま。私は透明でほんのり暖かい海水に少しでも長く浸かっていたかったので、ほぼ一日をビーチで過ごした。

ボートは約30分おきに島と船を行き来し、好きな時に船に戻れる。フィットネスセンターでトレーニングしたり、スパでリラックスしたり、デッキや部屋で昼寝したり。しなければならないことがないなんて、小学生の夏休み以来。久しく忘れていた感覚だった。
 
日本との時差は19時間。タヒチの夕刻は日本では翌日のお昼頃なので、急ぎの連絡のやりとりをして、写真に収まった景色を振り返る。遠洋のため安定感には欠けるが、船はメールや急ぎの連絡に足るWi-Fiを搭載、静かに執務に掛かれるインターネットカフェもある。



大海原をオレンジ色に覆い、やがて紫色に変わりながら地平線へと沈む夕日はとてつもなく美しかった。
 
夕食はフレンチ、グリル、フュージョンから選べ、食事もワインも通をうならせる質にセレクション。食後は毎晩タヒチダンスのショーやカラオケ、ディスコなど参加型の催しがあり、スタッフ総出で乗客を楽しませてくれる。



疲れて10時にはぐっすり眠りに就くという、すこぶる健康的な生活。脳が休まり、眼が休まるのを体感する。
 

この景色を残したい


タヒチは、なんといっても海の美しさが傑出している。見渡す限り白い砂浜とターコイズブルーの海。自然だけの人工物が全くない景色がどこまでもつづく。

スノーケルをすれば、海底に手が届くほどの浅瀬でも、全身の力を抜いて水面に浮かぶだけで、リトルマーメイドの世界に没入できるので、子供や泳ぎが苦手な人にもおすすめだ。

大きな目をした赤の縞の魚と目が合ったり、シースネークが魚を丸呑みする瞬間に遭えたり。銀、黄色、青、緑、漆黒の魚たちが、人間などお構いなしに私たちのすぐ脇を横切る。スイスイ泳ぐ魚の傍らで、ちょっとした波でも焦る自分にちっぽけさを感じると同時に、自然への敬意が募った。
次ページ > 深海の一員になれるディープな体験

文=山田理絵

ForbesBrandVoice

人気記事