ビジネス

2022.11.28

なぜ「マーケティング部」がある組織はダメなのか

オルビス社長の小林琢磨(左)、グロースX社長の津下本耕太郎(右)(撮影=小田駿一)


小林:マーケティングと事業会社の経営はイコールだから、経営会議の議論が理解できれば、会社に対して自分が何をしたらいいのか、会社の課題はなんなのか、ということへの解像度があがります。ここはまだ課題ですが、「マーケティングは顧客価値を高めること」なので、会社全体で議論できるようになることは必要なことですよね。

今後については、顧客体験のDXがポイントになってくると思っています。顧客価値を高めるためには、ブランド価値を進化させなければいけない。その時に、DXはすごく重要なポイントになります。OMO(オンラインとオフラインの融合)時代は、すべてがデジタルでつながっているからこそ、リアルで手に触れられることの価値が相対的に上がるということがコロナ禍で顕在化しました。

だからこそ、デジタル化が目的ではなく、アプリをコアにしながら、顧客価値を高めるためにデジタルを使い、オンラインでリアルを超えるブランド体験が作れればと思っています。OMO時代のブランド体験の先行者メリットは取りたいですね。とはいえ、口で言うのは簡単ですが、実行するのは難しい。 

津下本:小林さんの話を聞き、改めて「オルビスすごいな」と思いました。僕が小林さんをすごいと思ったのは、「『明日ほしい時にいつ届くかわからなかった』という困った体験をしました」と伝えたら、すぐにメモして、改善されていました。経営者がこうした鳥の目と虫の目を行き来したりするのがとても大事なことだと思っています。

僕自身も、経営をしている中で、虫の目が見えなくなることに恐怖心があります。この規模の会社で、経営者が虫の目になって会社全体に届けてくれていることがすごいなと。それができないと企業は、経営と現場のコンフリクトが起き、これまで以上に距離が広まる気がしますから。幹は変わりませんが、枝の部分はどんどん進化し、加速度的に変化していく中で、それをキャッチアップしながら、進めていっていらっしゃる点は本当に学ぶべき点だと思っております。

文=山本智之 写真=小田駿一

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