国際準優秀賞 Ivvy
ベルギーのシャルロット・ブランケ氏は、点滴スタンド(点滴棒)を使わないウェアラブルな点滴装置を開発しました。障害児の在宅介護をしているが、医療用の点滴スタンドが扱いにくく、家にあったコートハンガーで代用したという母の知人の話を聞き、これを考案したとのこと。薬剤を一定のペースで体内に送り込む輸液療法のための装置です。
病院では、車のついた点滴スタンドに輸液ポンプを取り付け、それを介して点滴を行います。しかし、狭い自宅でそのような複雑な医療機器を扱うのは困難が多く、しかも点滴スタンドには転倒のリスクが常にともないます。Ivvyはウェアラブルで、しかも通信機能付きなので遠隔で看護師による監視や操作が行えます。装着者も、ディスプレイと音で治療の様子を確認できます。今後は専門家の協力のもとで、改良を重ねる予定とのことです。
国内最優秀賞 AIR TALK-STARTER
耳が不自由な人は、視界の外から話しかけられても気づけません。そこで筑波大学大学院の小嶋凌勢氏と設楽明寿氏は、空気砲の原理で空気渦輪を相手の頭部に当て、話しかけている人の方に向いてもらう装置を考案しました。これを使えば、直接体に触れる必要がないため、不快感を与えず、遠くからでも呼びかけを伝えることができます。またこの装置には、ろう者または難聴者本人が装着する必要がないという利点もあります。2030年の、ろう学校やデフスペース(聴覚障害者に配慮した空間)への導入を目指しています。
国際最優秀賞とサステナビリティ賞には3万ポンド(約500万円)、国際準優秀賞と国内最優秀賞には5000ポンド(約83万円)の賞金が贈られます。2005年から始まったジェームズ ダイソン アワードでは、これまでに300点を超える発明に対して、100万ポンド(約1億6600万円)以上の賞金を提供しています。