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2022.11.22 11:15

ダイソンが学生の秀逸なアイデアを支援、ジェームズ ダイソン アワード発表

リリースベース(松村)

プレスリリースより

ジェームズ ダイソン アワードは、ダイソンのCEO、ジェームズ・ダイソン氏が主催し、世界中の学生を対象に、現代社会の喫緊の課題をテクノロジーで解決するアイデアを募集するコンテストです。このたび、世界29カ国の学生から寄せられた1600以上の応募作品から、国際最優秀賞、サステナビリティ賞、国際準優秀賞、国内最優秀賞が発表されました。傷口のpH値を測定することで傷の治り具合がわかるセンサーなど、4つの作品を紹介しましょう。

国際最優秀賞 SmartHEAL


ポーランドのトーマス・ラジンスキー氏、ドミニク・ブラニッキ氏、ビョートル・ウォルター氏が考案した傷口用の保護材です。通常、傷の治り具合の診断は見た目や生化学的検査に頼っていますが、そのためにはいちいち保護材を剥がさなければなりません。それによって傷の治りが遅くなるばかりか、感染症や組織の破壊といったリスクもあります。

そこでラジンスキー氏らは、傷の治り具合の指標となるpH値に着目。安価でコンパクトな無線センサーで傷口のpHを測定する装置を考案しました。これを使えば、保護材を剥がすことなく傷の状態を把握し、適切な治療が行えるということです。現在は臨床試験を予定していて、2025年の商品化を目指しています。

サステナビリティ賞 Polyformer


カナダのスワレ・オワイス氏とレイテン・チェン氏は、ペットボトルを3Dプリンターのフィラメント(3Dプリントの材料になる糸状のプラスチック素材)にリサイクルする低コストの装置を発明しました。ルワンダの共同工作所で働いていた2人は、3Dプリンターが置いてあるにもかかわらず、輸入品であるフィラメントが高価なためになかなか3Dプリントができないという問題に直面しました。

そこで、ルワンダで処理に困っていたペットボトルからフィラメントを作る方法を考案したのです。発展途上国の物作りと廃棄物のリサイクルを同時に支援できる装置です。現在は、もっと長いフィラメントが作れる装置、PETから3Dプリントの邪魔になる水分を抜き取る装置、3Dプリンターで使いやすいように長いフィラメントをスプールに巻きつける装置の開発に取り組んでいます。
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文 = 金井哲夫

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