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2022.11.21

Waymoがサンフランシスコで一般市民相手の無人運転運用開始

Getty Images

カリフォルニア州議会は、Waymo(ウェイモ)がサンフランシスコで24時間365日、安全ドライバー(基本自動運転に任せるが、いざというときに運転を引き継ぐ人間のドライバー)なしで特定の一般市民を乗せて走行することを許可した。Waymoは間もなく実際の運行を開始する。これは、先に「自動運転車の死がいかに誇張されているか」という記事でお伝えしたように、フェニックスでの類似サービスの拡大に続くものだ。

このサービスは、アリゾナ州チャンドラーやフェニックスで乗車できる任意の一般市民ではなく「信頼できるテスター」を相手にするものだ。乗車資格を制限することは、需要が供給より高い場合に有効であり、また、繰り返し乗る人から学ぶことができるという利点があるが、一方乗り手がNDA(非開示契約)の下に置かれるので、問題を一般に公開しないようにできるという、あまり高尚ではない別の目的も満たせる(Waymoはこれまで「信頼できるテスター」にこれを求めていたが、すみやかにNDA不要に移行すると言っている)。

あるサービスが一般人のメンバーを無条件で乗せるようになったとすれば、それは「公的サービスとして恥じることがない」という宣言になる。サンフランシスコでWaymoのライバルとなるCruise(クルーズ)は、すでに一般向けにサービスを提供しており、11月16日にはGMの社員を同乗させた昼間の運行を行うことを発表している。Cruiseはこれまで、夜10時以降の静かな時間帯にのみ乗客を乗せた運行が行われていた。

また、Waymoは、近々ロサンゼルスにも展開することを発表している(現地のスタッフでテストを行っている最中だ)。ロサンゼルスでは、中国の吉利汽車(ジーリー)がZeekr(ジーカー)ブランドで製造する新しいロボットタクシーモデルもお披露目する。実物を見た際にはさらにコメントしたいと思うが、現時点では2人以上のグループで乗るときに、前席が回転しないことが残念だ(後ろ向き乗車があまり快適だと思わない人もいるだろうが、前方衝突時の安全性は高い)。

どのプロジェクトも、システムに対する自信のほどがうかがえるようなマイルストーンを踏みながら進んでいるようだ。

1. 安全ドライバー、同乗者(pax)なし:それほど自信がない
2. 安全ドライバー、外部同乗者:安全ドライバーはかなり優秀なので、リスクは高くないが、もう少し安全性を高めたい。大きな一歩は、好条件だけを選ばずに公衆の面前で運行を行うようになったとき
3. 安全ドライバーなし、同乗者なし:大きなステップだが、乗客のリスクはなく、内部を誰も見ていない
4. 安全ドライバーなし、社員同乗:大きな一歩だが、重大な怪我がない限りミスは公表されない
5. 安全ドライバーなし、NDA付き公開:中間ステップ
6. 安全ドライバーなし、一般乗客:自分の短所もすべてさらけ出す、当然自分自身をかなり優秀だと思っているはず

なおこれらの各ステップは、Cruiseの夜間運転と日中運転の切り替えなどを含む、車両が処理する道路網と運転条件(ODD[Operational Design Domain、運行設計領域] と呼ばれる)によっても異なる。事業者たちは、乗車に対して料金を請求できるような拡大ライセンスを取得している。もちろん収益を得ることが目的ではない。単に、人々がお金を払うことにどう反応するかを実験できるようにするためと、需要を制限するための方法なのだ。

少数の車両しかない場合には、需要を制限するのは現実的な手段だ。一般サービス提供を学習することが目的で一般の人に参加してもらっているのに、もし乗車が難しかったら単発の乗車体験や、それに対応した一般人の反応しか学ぶことができない。それは今では十分に理解されている。実際のサービスを計画するには、そのサービスの利用に依存するようになった人たち、おそらくそのために車を手放すことを検討している人たちを研究する必要がある。そのためには、いつでも、それほど待たずに乗れるサービスが必要だ。
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翻訳=酒匂寛

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