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2022.11.21

GMは2025年までのEV黒字化を狙う、年間投資額は最大1.8兆円に

GMデトロイト工場のEV生産ライン(Getty Images)

サプライチェーンに関する問題が続き、新型電気自動車(EV)の生産立ち上げが信じられないほど遅れているにもかかわらず、ゼネラルモーターズ(GM)にとって2022年は財務的に非常に良い年であり、今後もそれが続くと予想されている。

GMのポール・ジェイコブソンCFOは、米国時間11月17日ニューヨークで行われた投資家向け説明会において、2022年のフリーキャッシュフローと利益に関するより高い見込みを発表した。またGMは、バッテリーセルコストを2025年に87ドル(約1万2200円)/kWh、20年代末までに70ドル(約9800円)/kWh以下にすることを前提に、EVのラインアップを2025年までに黒字化するとの見通しを再度述べている。

GMは、2025年まで毎年110億〜130億ドル(約1兆5300億〜約1兆8000億円)の資本支出を計画しており、2025年には北米で年間100万台のEVを製造するための製造インフラを整備する予定だ。GMはこれを達成するため、ミシガン州デトロイトとオリオン、テネシー州スプリングヒル、メキシコのラモス・アリスペ、オンタリオ州インガーソルにある組立工場の再編を進めている。また、GMは、Ultium Cells(アルティウム・セルズ)LLCというジョイントベンチャーを通じて、年間160GWhのセル生産に投資している。このセル生産JVは、現在オハイオ州ロードタウンで生産中だが、2023年にはスプリングヒル、2024年にはミシガン州ランシングでの生産を始め、近日中に4カ所目の工場が発表される予定だ。また、多くの部品工場では、生産のための再編成が行われている。

これまで、オリオンではシボレー・ボルト、デトロイトではハマー、スプリングヒルではキャデラック・リリックが製造されてきた。しかし、ハマーやリリックの生産はまだごく限られている。2023年末までにEVを40万台生産するという当初の目標は、特にバッテリーとセル工場での労働力の供給不足により、現在2024年半ばに延期されている、

GMは、他の多くの大手自動車メーカーと同様に、中核となる製造に加え、EVのサプライチェーンに大規模な投資を行っている。ジェイコブソンCFOはメディアとの懇談会で、GMがバッテリーの鉱物回収と加工能力に投資していることをあらためて説明した。これには、Posco Chemica(ポスコ・ケミカル)との正極材工場の合弁事業や、ソルトン海の地熱かん水に含まれるリチウムを抽出するControlled Thermal Resources(コントロールド・サーマル・リソース)との提携が含まれている。

GMは、2025年に100万台規模のEVを生産するために必要な電池材料の契約をすでに締結している。その時期までには、そうした材料のほとんどはまだ北米で生産されていないにもかかわらず、GMは2025年までに米国の自由貿易パートナーを通じて、新しいクリーン車両クレジットの内容要件を満たすことを期待している。米国産材料は2020年代後半に登場すると思われる。
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翻訳=酒匂寛

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