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2022.11.18 15:45

DXが日本企業でなかなか進まないワケ、調査結果で明らかに

Getty Images

日本企業のDXがなかなか進まない。IMD(国際経営開発研究所)によれば、2022年の「世界のデジタル競争力ランキング」では、日本は63カ国中29位。ちなみに韓国は8位、台湾が11位とアジアでも大きく遅れをとっている。とくに評価が低かったのがデータ分析の活用だった。なぜ日本ではデジタル改革が進まないのか。企業のデータ活用の実態調査で、その原因が見えてきた。



データマネージメントサービス『Dataring』を提供するウイングアーク1stは、売上高100億円以上の企業の役職者530人を対象に、DX人材とデータ活用について調査を実施した。それによると、業務改善とオペレーションの効率化、パーソナル業務の効率化、売り上げ向上と意志決定のスピード化にデータを活用していると答えた管理職が合計で6割近くあったのに対して、「まったく行っていない」と「わからない、答えられない」が合計で約24パーセントと非常にお寒い結果となった。しかし、積極的にデータ活用を進めている企業にも、大きな悩みがある。

何らかのデータ活用を実践している企業では、約8割がデータ分析に注力していて、その8割の企業では、効率的な経営判断ができるようになった、改善PDCAが回せるようになった、ビジネスの成果を実感している、業務スピードがアップしたと、かなり肯定的な意見が聞かれている。DXまたはデータドリブンを積極的に取り入れた企業では、それがしっかりと成果をあげていることがわかる。



ところが、データ活用していると答えた企業のうち、社内の専門家にデータ管理を任せている企業が5割強あったものの、社内の非専門家に任せている企業が5割近くあった。また、この「非専門家」の半数が「属人的にやっている」とのこと。通常の業務と掛け持ちで、できる人がやっていて、作業内容が標準化されていないため、担当者がいなくなったら後がないという危うい状態だ。しかも、それを任されている人の約6割が、自分が行うデータ分析に不安を感じているという。さらに、データ分析に注力している企業の7割がデータ分析に疲弊していると感じている。つまり、人材不足のために、相当な無理をしているわけだ。



データ活用をしていない企業に理由を尋ねても、DX人材の不足が約3割ともっとも多かった。対策としては、データ分析を外部の専門家に依頼するか、社内の非専門家を再教育するかだ。理想的としてはビジネスマインドのある現場出身の社員を再教育したいと考えている企業が5割近くにのぼったが、同時に、外部委託を前向きに考えている企業は5割を超える。矛盾するように見えるが、これについてウイングアーク1stの執行役員大澤重雄氏は、「社内の人材育成のためにも専門スキルのあるDX人材の起用に前向きになりつつある」と話している。

文 = 金井哲夫

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