アウディが手がけるこのスポーツEV、日本での発売は2021年。そのときドライブして受けた衝撃は、いまも薄れていない。
ここまでパワフルで、ここまで楽しくなるのか。すばらしく速く、スムーズに走れる。航続距離の長さも特筆に値する。
満充電で534km走れるとされる。じっさい、私は東京・品川駅近くから東名高速を使って、箱根のさらに先の日本平まで、充電なしで走ったことがある。最後に、あと200km走れるという表示を見て、度肝を抜かれた思いだった。
e-tron GTクワトロは、全長4990mm、全高1415mmの、流麗なスポーツカーボディに、モーターを前後に2基。パワフルな新世代の4輪駆動だ。
スポーツカーの魅力とは、格好の自己表現になるところにある。ポルシェ911に乗るひともいれば、アストンマーティンを選ぶひとも。乗っているクルマで、なんと なくドライバーのひととなりが推し量れる気がするものだ。e-tronGTクワトロも、スタイリッシュで、圧倒的な加速性能をもち、そしてEVと、このクルマならではの個性が確立している。
さきごろ、米カリフォルニア州で、2035年に販売される新車は、環境のために炭素の排出量ゼロのピュアEVであることが義務づけられるという報道があった。そんな世のなかである。e-tron GTクワトロに乗ることは、自分が世界とどうかかわっていくのかを表現する、最適な手段といえるかもしれない。
思えば、アウディは、空力ボディや、高速走行のための4輪駆動技術クワトロシステムで名声を確立してきた。中身の詰まったブランドなのだ。