経済・社会

2022.11.18 11:30

破綻した取引所FTXは「最悪の企業統治」、新CEOが痛烈に非難

サム・バンクマンフリード

サム・バンクマンフリード

暗号通貨取引所FTX の新CEOに就任した破産弁護士のジョン・レイは、サム・バンクマンフリードが率いたFTXの崩壊を、自身の40年以上のキャリアで見た中で「最悪の企業マネージメント」と呼んで厳しく非難した。現在63歳のレイは、2001年に経営破綻したエネルギー企業エンロンの精算を手がけたことで知られている。

「私のキャリアにおいて、今回ほどの企業統制の完全な失敗を見たことがない」と、レイは11月17日に公開されたデラウェア州の破産裁判所の書類で述べ、FTXには「信頼に足る財務情報の開示」が全くなかったと批判した。

ベテランの破産弁護士である彼は、FTXの経営状況が前例がないもので、「海外の誤った規制監督」と「経験の浅い小規模な個人のグループ」によってコントロールされていたと指摘した。

レイは、11日の早朝にFTXのCEO職を引き受けたが、この日は、その数日前に突如発生した流動性の危機を受け、FTXが米連邦破産法11条(チャプターイレブン)に基づく会社更生手続きを開始し、前CEOのバンクマンフリードが辞職を発表した日だった。

レイはまた、FTXと投資会社のアラメダリサーチの財務諸表が、監査を受けずに作成されており、その内容が信頼できないと繰り返し述べている。彼は、別の提出書類においてもバンクマンフリードを非難し、彼の無秩序な経営スタイルや、ここ最近の不注意なツイート、信頼できる記録がほとんど残されていないことなどを非難した。

バンクマンフリードは、「過信と不注意」によって経営判断を誤ったことを認める約30件の奇妙なツイートを行ったが、レイは、バンクマンフリードの発言が会社を代表するものではないと指摘した。

かつて「暗号通貨業界の白馬の騎士」と呼ばれたバンクマンフリードの失墜は、暗号通貨市場全体に衝撃を与えている。財務危機が報じられたFTXでは、資金を取り戻そうとする投資家らが、数十億ドルを引き上げる事態が発生。

これを受け、競合の大手取引所のバイナンスは、FTXからの要請を受けて、彼らの救済に乗り出そうとしたが、資産査定の結果、FTXが抱える流動性の問題が、「当社の能力を超えている」と発表して手を引いていた。

FTXの評価額は昨年末には320億ドルに達し、バンクマンフリードの保有資産は260億ドル(約3.7兆円)以上とされていた。しかし、同社の破綻を受けて、フォーブスは彼をビリオネアランキングから除外した。

forbes.coom 原文

編集=上田裕資

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