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2022.11.22

米大手テック企業の不動産縮小がリモートワーカーには朗報である理由

Getty Images

Lyft(リフト)、Meta(メタ)、Salesforce(セールスフォース)などの大手ハイテク企業は、市況に対応して保有する不動産を縮小している。サンフランシスコ、シリコンバレー、ニューヨーク、オースティンなどの一等地にある数百万平方フィートのオフィススペースでは、建設工事を引き伸ばしたり、法外な賃貸料から抜け出そうとしたり、もしくはスペースを転貸しようとしたりしていると、先にウォールストリートジャーナルは報じた。

40年来の記録的な高インフレ率と連邦準備銀行の積極的な利上げによる新たな緊縮経済が、企業の収益にマイナスの影響を与えている。

企業は経費を抑制するためにコスト削減を進めている。残念ながら、最も大きな出費の1つが、ソフトウェアエンジニアのようなホワイトカラーの技術者に支払われる高額な報酬だ。雇用凍結や人事・採用担当者の縮小により労働者が減少しているため、高価な都市での企業向け賃貸やハイテク企業がパンデミックの期間に購入した不動産の必要性が薄れてきているのだ。

1年前の今頃は、人材の争奪戦が繰り広げられていた。Layoffs.fyiによると、現在、12万人以上の技術系社員が解雇されている。この動きの恩恵を受けるのは、完全リモートワークや、週に1日か2日のハイブリッドワークを希望する人たちだ。

この新しいトレンドは、ハイテク企業やその他の企業が予算の引き締めや経費節減に奔走する中で勢いを増すだろう。パンデミックは、オンラインでビジネスを行うという動きを加速させた。ハイテク企業の株価は急騰した。しかし「バブル」は弾け、シリコンバレーにとっては過酷な1年となった。

自宅で仕事をしたい人は幸せだろう


今にして思えば、ハイテク大手やベンチャーキャピタルが支援する新興企業は、デジタル経済への移行が永遠に続くと信じ、熱狂しすぎていた。企業は、人材の争奪戦に勝つために積極的に人を採用した。経済が収縮し、ハイテク部門が輝きを失い続けるなか、ハイテク企業界のリーダーたちが不動産スペースに投資した賭けは間違いだったのだ。

本当の勝者となるのは、リモートワークを希望する人たちだ。Apple(アップル)やウォール街の投資銀行など多くの企業がオフィスへの復帰を推し進める中、労働者からは反発の声が上がっていた。彼らは、過去2年以上にわたって在宅勤務が成功した事実を指摘している。往復2〜3時間の通勤をしなくてもよくなり、生産性はより高まった。週末も含め、他にすべきことがなくなったため、平日はより多くの時間を費やす傾向がある。
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編集=Akihito Mizukoshi

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