イェール大学ロースクール、方法論をめぐり「USニューズ」ランキングに不参加

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イェール大学ロースクールは、同校が説明するところの「欠点のある」方法論のため、長年トップであった「USニューズ&ワールド・レポート」のロースクールランキングへの参加を取りやめた。

同校の発表した声明によると、公益的なキャリアを支援する意欲を抑制し「ロースクールが法学教育にとって最善のことをする意欲を失わせる」「誤った計算式」が、参加取りやめを決めた主な理由だとしている。

「ランキングのプロセスは、法曹の中核となる責任を損なうところまで来ています」と、エール大学ロースクールのヘザー・K・ガーケン学長は述べている。「その結果、我々はもう参加しません」

このランキングが始まって以来、イェール大学ロースクールが「USニューズ」ランキングのトップだったことは認めながらも、ガーケン学長は、大学がその地位をプログラムの宣伝や方向性の決定に利用したことはないと述べた。

192校のロースクールを固定した評価基準でランキングする「USニューズ」は、多様な教育機関を正確に把握しようとすると「ほぼ不可能なタスクに直面する」と、ガーケン学長は指摘する。「そのアプローチは、法曹界の発展に寄与しないばかりか、進歩の妨げになるものです」

具体的には「USニューズ」のランキングは、公益的なキャリアを目指す学生を支援するロースクールの意欲をそぎ、上級の学位を追求する卒業生を軽んじるものだ。同誌は、博士号や修士号を目指す学生だけでなく、公益のフェローシップを受ける学生も実質的に失業者と分類しているようだと学長は述べている。

さらに、このランキングでは、学生の負債額を計算する際にローン免除制度を除外していると、ガーケン学長は指摘する。「ロースクールが公益的なキャリアを目指す学生を奨励するためにリソースを割いている場合、USニューズはその学校を負債負担が大きく、就職率が低いの学校と誤って判断している」と学部長は述べている。「そのような後ろ向きのアプローチは、全米のロースクールが、奉仕のキャリアを夢見る学生を支援する意欲を失わせるものです」

イェール大学ロースクールの著名な卒業生には、ビル・クリントン、ヒラリー・クリントン、最高裁判事クラレンス・トーマス、サミュエル・アリト、ソニア・ソトマヨール、ブレット・カヴァノーがいる。

エール大学ロースクールのニュースは、高等教育機関ランキングの力と影響力を弱める可能性のある、注目すべき動きに続くものだ。9月には、コロンビア大学が「USニューズ」のランキングに不正確な情報を提出したと発表した

以前はハーバード大学、マサチューセッツ工科大学と並んで全米大学ランキング2位だったが、コロンビア大学は現在18位にランクされている。

forbes.com 原文

翻訳=上西 雄太

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