テクノロジー

2022.11.18 13:00

人間2人を月に送り込むNASAとSpaceXの偉大な計画が始動


アルテミス3:2人の宇宙飛行士が月面に着陸


ここからが本命だ。おそらく2025年ころに、月の南極付近のどこかに、初の女性と初の有色人種の人物が着陸する計画だ。1972年にアポロ17号のジャック・シュミットならびにジーン・サーナン両宇宙飛行士が最後に月面に降り立ってから53年後のこととなる。

30日間の複雑なミッションとなる。アルテミス3では、宇宙飛行士はオリオン宇宙船で月軌道に入ったあと、Lunar Gateway(ルナ・ゲートウェイ)と呼ばれる軌道上のハブ(NASAと契約した民間宇宙企業が5回の打ち上げの間に建設するもの)にドッキングする予定だ。

その後、宇宙飛行士はドッキングしたSpaceXのStarshipに乗り込み、月面に降り立つ予定だ。着陸地点は暗い場所だろう。月の南極から緯度にして6度以内にあるため、これまでアポロの宇宙飛行士たちが探査した月のどの領域とも異なり、恒久的に影に覆われた領域が存在することになる。NASAの惑星科学部門でアルテミス月科学部門を率いるサラ・ノーブルは「提案されている領域内にある場所は、月の最も古い部分に位置していて、恒久的な影のある領域とともに、これまで研究されていなかった月の物質を通じて月の歴史を学ぶ機会を提供してくれます」という。

6日半の間に4回の船外活動を行った後、Starshipは離陸し、軌道上のLunar Gatewayに再びドッキングする。乗員はオリオンに乗り移り、地球に向かい着水することになる。

アルテミス3の宇宙飛行士は今年後半に決定し、着陸地点はNASAがミッションの目標打ち上げ日を特定した後に決定される。日程が決まることで飛行経路が決まり、着陸候補地点がどの程度暗いかがはっきりするからだ。

アルテミス3の着陸候補地点
アルテミス3の着陸候補地の13カ所。それぞれの地域は約9.3×9.3マイル(15×15キロメートル)である。着陸地点は、これらの領域内の半径約328フィート(100メートル)の場所となる(NASA)

2025年以降のアルテミス計画


2030年まで毎年行われるアルテミスミッションは、Lunar Gatewayの居住モジュールの建設に寄与する。Lunar Gatewayには毎年1名の乗員が送られ、ロボットミッションが月着陸船をLunar Gatewayに運び、3人の宇宙飛行士が月面に降り立つ準備をする。

アルテミス4(2027年)


宇宙飛行士はLunar Gatewayの居住区を建設し、月面に降り立つ。NASAは今週、アルテミス4のためのStarship宇宙船供給を受けるために、SpaceXとの契約延長を決定したと発表した

アルテミス5(2028年)


宇宙飛行士が月面に降下する。

アルテミス6(2029年)


宇宙飛行士はLunar Gateway にロボットアームを取り付け、月面に降下する。

アルテミス7(2030年)とアルテミス8(2031年)


これらのミッションのいずれかで、宇宙飛行士は月面に降り立つことになる。

NASAのビル・ネルソン長官は「宇宙飛行士を月に再び送り、学び、生活し、働くというのは、大胆な試みです」と語っている。「SpaceXや未来のパートナーから提供が計画されている複数の着陸船によって、NASA は、明日のミッションを達成するための優位な位置に立つことができます。これまで以上に多くの科学を月面で実践し、火星への有人ミッションの準備を行うことができるのです」

澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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