熊澤さんは1908年創業という老舗の暖簾を受け継ぐ4代目だ。
そんな熊澤さんに料理道具や合羽橋への想いを伺った。
日本の伝統である「良理道具」を伝えていくことが使命
「やっぱり中華鍋じゃないですかね。炒め、茹で、あと揚げ物もできて、セイロがあれば蒸すこともできる。これ、すごく便利なんです。何より、チャーハンを作るにしてもあの鍋でガーッって料理していると不思議とテンションが上がるんです。いい筋トレにもなるのでおすすめですよ(笑)」
料理初心者の男性におすすめの料理道具について訊くと、熊澤は身振り手振りを交えながら語る。料理好きで、食べることも大好きな熊澤のFUN-TIMEはやはり食事。
「今いちばん楽しいと感じるときは、いくら遠い場所であっても美味しいものを食べに行くことです。観光とは違い、ただ食べるために現地へ向かう。贅沢ですがそれがすごく楽しくて。
鮮度の問題で都内では食べられない、また現地の天然水や店に併設した畑で栽培した素材など、その土地にしかないものを最先端の調理法を駆使し、料理として表現されているんです。料理も大満足ですが、そういった料理人たちの丁寧な仕事ぶりを見ていると単純に楽しいですし、刺激になります」
また自らハンドルを握り、ドライブを兼ねて遠出をするのもFUNな瞬間のひとつ。愛車はメルセデス・ベンツ GLS。
「昔から神奈川・鎌倉が好きで、季節に関係なく週末など時間があるときに家族みんなでよく行きます。いつも決まって訪れる、しらす屋に寄って買い物をしたり、海沿いを散歩したりする時間が楽しいです」
熊澤が代表を務める釜浅商店は、おもに釜を販売する熊澤鋳物店として1908年に創業を開始した料理道具店。包丁や鍋、フライパンなど料理道具を中心にあらゆるキッチン回りのアイテムを販売している。
100年以上も歴史を誇る老舗ともなると、後継ぎとしてのプレッシャーもありそうだが、熊澤は「なぜかなかったですね、全然」とあっけらかんと語る。
「僕はひとりっ子なので、後を継ぐことは何となくわかっていました。父からは25歳になったら店に入れと言われていましたが、当時はそんな気はなくて。でも結果的に25歳で入ることになったのですが、それは無理やりとかではないんです。
昔からファッションやカルチャーが好きで、仕事もインテリア関係の会社で働いていましたが、料理道具店という仕事でも、そこに関わることができると思ったからなんです。あと、家業自体が純粋に楽しそうだなって思ったので自然と戻ってきました」