地の利か知見か、W杯で優勝するのは「サッカー国力」の強い国

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日本代表、すべては初戦に


今回のカタールでのワールドカップは、かなり特殊な大会である。会場となる8個のスタジアムはペルシャ湾に突き出たカタールの東側に固まっている。すべてのスタジアムは冷房が完備、気温がコントロールされているという。
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2006年のドイツ大会、日本代表はテレビ放映の関係でゲームを昼間に行い、暑さに苦しんだ。今回は、こうしたことは起きない、はずだ。またスタジアムへの長時間の移動で選手が疲弊することもない。その意味では、選手の能力がダイレクトに結果に反映しやすい環境といえる。

カタールは欧州から近い。欧州の代表チームは、念入りにシミュレーションを繰り返してきたはずだ。その意味で欧州のなかで「サッカー国力」が頭1つ抜けている、フランス代表やドイツ代表、スペイン代表が優勝有力国となる。

しかし、ぼくは敢えて別の見方を提示したい。ベルギー系ブラジル人のジョアン・アベランジェが国際サッカー連盟(FIFA)会長時代(1974年〜1998年)に推し進めたのが、サッカーの商業化、国際化だった。それまでサッカーとW杯は欧州大陸と(中)南米大陸という2つの大陸を中心に動いていた。
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アベランジェと1998年にそれを引き継いだスイス人のゼップ・ブラッターの方針により、1994年にアメリカ、2002年に日本と韓国、2010年に南アフリカと両大陸以外でW杯が開催された。この「第三地域」で行われた大会のうち、1994年と2002年に優勝したのはブラジルだった(2010年はスペイン)。

ブラジル人選手が世界中に散らばっているのは、足技の巧みさに加えて、適応能力が高いからだ。そんな選手の集合体であるブラジル代表には第三地域で戦う知見がある。

エースのネイマール1人では心もとないが、母国を3度の優勝に導いたペレにもう1人ガリンシャがいたように、22歳のヴィニシウス・ジュニオールが活躍すれば優勝の可能性は高くなる。

日本代表はどうか? すべては初戦だ。ドイツに引き分け以上ならば、光明は見えてくる。逆に初戦で踏ん張れなければ、そこで終わり、である。

文=田崎健太

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