ロシア軍連隊、わずか12日間の戦闘で徴集兵2500人を失ったと報じられる

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ウクライナ軍の第92機械化旅団は、ウクライナ東部ドンバス地方のセベロドネツクから北西に約48キロ離れたロシアが占領している町スバトボの近くで、不幸で戦闘に適していない徴集兵をロシアが前線に押し出すと同時に彼らを殺害している。

「俺たちはただやられるだけの肉だ」と、ある徴集兵は傍受された通話でいった。人気のソーシャルメディアアカウント@wartranslatedがありがたいことにこの通話内容を英語を話す人のために訳してくれた。

第362機動小銃連隊に属する徴集兵のものとされているこの通話はロシア軍徴集兵の暗い状況を物語っている。第362連隊と姉妹連隊の第346連隊は、ウクライナの第92機械化旅団のセベロドネツクへの進軍を止めることはできないまでも、遅らせるためにスバトボ周辺の戦線を維持するよう命令されている。 ロシア軍は数カ月におよぶ激戦の末、6月にセベロドネツクを占領した。

しかし、プーチン大統領が9月に動員令を出し強制的に兵役に就かせた30万人が部分的に配備されたロシア軍の連隊は絶望的なまでに劣勢だ。「何もないんだ!」と徴集兵は電話で叫んだ。「迫撃砲や戦車を相手にどうやって戦えというんだ」

この不釣り合いな状態は何ら驚くことではない。第92機械化旅団はよく整備された戦車T-64や戦闘車両BTRを保有する義勇兵の部隊だ。2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、同旅団はスバトボのすぐ北のハルキウ州周辺での一連の戦闘で勝利している。現在はセベロドネツクを目指している。

対照的に、第362連隊は戦闘部隊であると同時に流刑地でもある。将校は無理な命令を出し、退却すれば厳罰に処すと徴集兵を脅す。その後、将校は比較的安全な連隊の後方地域に姿を消し、訓練を受けていない徴集兵は間違いなく世界一経験豊富な機械化旅団に指導者不在のまま戦いを挑むことになる。

スバトボへの配属はロシアの徴集兵にとってまさに死刑宣告だ。「大隊長は補充部隊が到着するまで2週間持ちこたえなければならないと戯言を言った」と電話の主は説明した。「どうやったらここで2週間も持ちこたえられるんだ」連隊はわずか12日間で兵力の半分にあたる2500人を失ったと電話の主は主張した。

今、100人の生存者が、2500人が2022年11月初めに守れなかった陣地を守ろうとしているという。しかし、不満を口にしたところ、将校に脱落者のレッテルを貼られ、実刑判決を受けると脅された。そして負傷した300人が戦線からはって逃げてくると、将校たちは彼らも脱落者とみなした。

電話の主によると「俺たちを刑務所に入れろ」と将校にいった徴集兵もいた。墓場より刑務所の方がましだ。

窮地に立つロシア軍にとって意外なことに、スバトボ周辺では正規のロシア軍も芳しくない。確かに軽装備の徴集兵の連隊は虐殺されている。しかし、最新の戦車T-72B3を操る部隊も同様だ。ウクライナ軍は16日までにスバトボ郊外のぬかるんだ畑で損傷のないT-72B3を3両回収した。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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