その代表的な活躍シーンがクリエイティブの現場だ。先にテキストを与えるだけでその内容を理解し、「いい感じ」のイラストを自動生成してくれるジェネレーティブAIの登場が話題になったが、写真データの加工などでも積極的にAI技術が導入されている。
今後発表される新機能もAIの力を借りるもの
先にAdobeは同社の主要ソフトであるAdobe Photoshopのメジャーアップデートを発表した。先に発表されていた画像内の選択したいオブジェクトの上にカーソルを重ねるだけで自動的に選択してくれる「オブジェクト選択」機能が強化。空や建物、水、植物、地面、床材などの、複雑なオブジェクトや領域まで認識できるようになっている。また、同じく写真の画像処理や管理を行うAdobe Lightroomでは、写真内の人物やオブジェクトをすばやく選択することもできるようになった。
従来、これらの作業は人間が写真を見ながらチクチクと作業して選択しなければならなかったが、カーソルを合わせるだけで細かいディテールやエッジ一発で選べるようになっている。慣れるまで経験が必要だった作業が、短時間で正確かつ高い精度で行えるようになっている。
Adobe MAX 2022で行われた同社が現在、開発を進めている最先端技術や機能をチラ見せする名物イベントSNEAKSでも、背景に合わせて、切り抜いた画像をスキルがなくても「いい感じ」で合成してくれる「Clever Composites」や静止画である写真内の人物をダンスさせることができる「MotionMix」などが紹介され、注目を浴びた。
これらの最先端技術や機能は、Adobe PhotoshopやLightroomと同じく、同社の人工知能AIエンジン「Adobe Sensei」を利用したものだ。
1枚の写真を元に新たな写真を創り出せる「AllOfMe」。例えばヒザ上までしか写っていない写真でも、AIが足を追加し全身写真に。服装の色や種類も変更できる