名ライターから着想を得た老舗ダンヒルの意欲作

「ダンヒル」のショルダーバッグ


森岡:今回紹介するバッグはメッセンジャータイプのショルダーバッグです。外付けのジップポケットが設けられていますが、このT形のジッパーの引き手もアーカイブをヒントにしてデザインされたと聞きました。

小暮:この引き手、意外に目立つ、いいデザインですね。

森岡:これは1927年に発売された「ユニーク」ライターに採用されているリフトアームから引用されたデザインです。

小暮:これもライターのアーカイブデザインからですか。博物館にはたくさんのアーカイブがありましたから、まだまだデザインの元になるような名品があるでしょうね。

森岡:まさに宝の山という感じでしょうね。

小暮:博物館を訪れたとき、全部写真を撮って、もっと詳しく聞いておけばよかったですね。それもこれも19世紀に英国で創業し、確かな歴史と職人技をもち、長きにわたって紳士の身だしなみを支えてきたダンヒルだからこそ可能なクリエイションと言えますね。

森岡:クリエイティブ・ディレクターのマークは、歴史も現代のトレンドも熟知して後々まで記憶に残る新作をデザインしました。

小暮:老舗の力を感じますね。


森岡 弘◎『メンズクラブ』にてファッションエディターの修業を積んだ後、1996年に独立。グローブを設立し、広告、雑誌、タレント、文化人、政治家、実業家などのスタイリングを行う。ファッションを中心に活躍の場を広げ、現在に至る。

小暮昌弘◎1957年生まれ。埼玉県出身。法政大学卒業。82年、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。83年から『メンズクラブ』編集部へ。2006年から07年まで『メンズクラブ』編集長。09年よりフリーランスの編集者に。

photograph by Masahiro Okamura|text by Masahiro Kogure|fashion direction by Hiroshi Morioka|edit by Akio Takashiro

この記事は 「Forbes JAPAN No.099 2022年11月号(2022/9/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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