計8540億ドル(約119兆円)の資産を運用する世界のファンドマネジャー309人を対象としたこの調査によると、ポートフォリオに占める現金の比率は6.2%と長期平均の4.9%より依然としてかなり高い水準となっている。
インフレの最悪期はひとまず脱した兆しが増えつつあるものの、約92%のファンドマネジャーは、向こう1年の経済は成長率は平均以下で物価上昇率は平均以上というスタグフレーションに見舞われると予想している。
投資家の弱気姿勢を反映して、テクノロジー株への投資配分比率も2008年の金融危機後の「グレートリセッション」以来最低だった。テクノロジー株は今年大幅に下落している。
金利の上昇や為替レートの不安定さで特徴づけられる金融リスクについて、通常よりも高まっているとみているファンドマネジャーは91%にのぼり、過去最高だった。
経済に対する最大のリスクは何かという質問に対しては、「インフレの高止まり」とする回答が32%と最も多かった。ロシアとウクライナあるいは中国と台湾の「地政学的状況の悪化」と、「中央銀行のタカ派姿勢の維持」、「深刻な世界的リセッション」がいずれも18%で続いた。
米経済についてもリセッション入りを見込むエコノミストが増えつつあるが、世界のほかの国や地域に比べると相対的に穏やかなものになるとみる向きが多い。バンク・オブ・アメリカの調査によると、ファンドマネジャーは英国とユーロ圏の株式に最も弱気で、米国の株式に最も強気だった。
モルガン・スタンレーは今月のリポートで、米経済は来年リセッション入りはぎりぎり回避できそうだが、雇用の伸びは大幅に鈍化し、失業率は引き続き悪化するとの見通しを示している。
15日に発表された10月の米生産者物価指数(PPI)は前月比0.2%上昇と、市場予想の半分の伸びにとどまった。10月の米消費者物価指数(CPI)も前年同月比7.7%の上昇にとどまり、伸びは6月の9.1%をピークに抑えられてきている。
それでも、エコノミストの間ではあまり楽観的になり過ぎるべきではないとする声が多い。バンクレートのチーフファイナンシャルアナリスト、グレッグ・マクブライドは、とくに住宅や食品、エネルギーの価格が依然として大幅に上昇していることを挙げ、「インフレの広がりはなお問題だ」と指摘している。
(forbes.com 原文)