この下降を加速させているのが、拡大する住宅ローン返済ボイコットと、和らぐ気配をほとんど見せない流動性危機だ。
広東を拠点とする住宅用不動産開発会社の碧桂園は、かつては、世茂集団(Shimao Group)、融創中国(Sunac China Holdings)、中国恒大集団(エバーグランデ)といった負債を抱える同業他社よりも健全と見なされていた。
その碧桂園は現在、中国政府が2020年に導入した、住宅価格を抑制し、不動産開発業者の莫大な負債を削減するための施策によって打撃を受けている。
同社の上半期純利益は、96%という大幅減の6億1200万元(約122億円)だった。これは、2007年に香港で上場して以来の下げ幅だ。売上も3分の1以上減少した。
過去1年で株価は84%下落し、57%の持ち株を基礎とする楊の資産は49億1000万ドルにまで減少した。持ち株の大部分は、1992年に同社を創業した父の楊国強(ヤン・グオチアン)から2005年に譲渡されたものだ。2007年4月に同社が上場したことにより、同年の中国長者番付1位となっていた。
楊父子は現在、碧桂園の共同会長を務め、恵妍の妹である楊子瑩(Yang Ziying)も取締役に加わっている。
碧桂園は2022年6月、国営メディア「証券日報(Securities Daily)」に対して、同社の負債をジャンク級(投機的水準)に格下げした信用格付け会社ムーディーズの評価が、債務返済と資金調達能力に影響を与えることはないと話した。
碧桂園は7月、バランスシートを改善するために、株式を市場価格の13%引きで売却し、総額28億3000万香港ドル(約507億円)を得た。その2カ月後には、国が保証する社債15億元(約299億円)分を発行した。中国の規制当局は、こうした保証プログラムを拡大する意向を示している。
碧桂園は6月現在、向こう12カ月で1兆3000億元(約25兆9000億円)の債務支払いに直面していた。1235億元(約2兆4600億円)という同社の現金および現金同等物をはるかに上回る額だ。
(forbes.com 原文)