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2022.11.16 16:30

英ヘッジファンド、アルファベットにコスト削減要求

Getty Images

「物言う株主」として知られる英ヘッジファンドのTCIファンド・マネジメントは15日、米グーグルの持ち株会社アルファベットに対し、従業員の解雇や報酬圧縮によるコスト削減を要求した。米株式市場が低迷するなか、米テクノロジー企業に対する投資家の圧力が強まっている。
 
TCIを率いる英富豪のクリストファー・ホーンはアルファベットのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)に宛てた書簡で、アルファベットは従業員数が多過ぎるうえ、個々の報酬パッケージに対する支払い額も大き過ぎると指摘。こうした「高過ぎる」コストを抑制するため、経営陣に「積極的な行動」をとるよう求めた。
 
書簡のなかでは、メタが先週、全従業員の約13%にあたる従業員のレイオフ(一時解雇)を発表したことや、アマゾンが1万人規模の解雇を計画していると報じられたこと、ほかにもストライプやツイッター、セールスフォース、マイクロソフトなどもレイオフに踏み切ったことにふれ、「ほとんどのテクノロジー企業がコスト削減を進めている」とも指摘した。
 
ホーンはアルファベットについて、2022年7~9月期決算の売上高が前年同期比6%増と堅調だったことは認める一方、経費は18%増とそれをはるかに上回る伸びとなった点に懸念を示した。シリコンバレーの企業なかでもとくに高いアルファベットの給与水準は「正当な理由がない」とも断じた。
 
ホーンはアルファベットに対して、1160億ドル(約16兆2500億円)にのぼる手元資金を利用して自社株買いを増やすことや、自動運転のウェイモやサーモスタットメーカーのネストなどベンチャーキャピタル・未公開株部門の損失を縮小することも要求した。
 
TCIは14日の提出書類で、アルファベットの発行済み株式総数の約1%にあたる6800万株あまり(約60億ドル=約8400億円=相当)を保有していることを報告していた。ホーンは15日、TCIは2017年からアルファベットの大株主となっており、これは「アルファベットの将来に対する強い確信」を反映したものだと説明している。
 
アルファベットのコメントは得られていない。
 
アルファベットの株価は今年に入り31%下落しており、下げ幅はハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数の28%よりも大きくなっている。
 
バンク・オブ・アメリカが15日に公表したファンドマネジャー調査によると、運用資産に占めるテクノロジー株の比率は2006年以降で最低となっている。
 
フォーブスによると、ホーンの保有資産額は推定79億ドル(約1兆1000億円)。
 
forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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