米国の極秘スペースプレーンが大音響とともに帰還、連続飛行記録を更新

X-37Bスペースプレーンは6度目のミッションを成功裏に終了した(US SPACE FORCE)

謎の軍用宇宙機が連続飛行記録を更新する2年半近くの軌道周回を終えて帰ってきた。

米国時間11月12日午前、ボーイングX-37Bスペースプレーンは、908日間の宇宙飛行を終えてフロリダ州ケネディ宇宙センターに着陸し、それまでの780日間の記録を更新した。これは米国宇宙軍・空軍の合同作戦による6回目の無人宇宙機ミッションだった。

東海岸時刻午前5時22分に同機が帰還した時、フロリダの海岸沿いの住民たちは、スペースプレーンが大気に再突入する際に発したソニックブーム(衝撃波による大音響)が聞こえたという。

「X-37Bは今も実験の限界を広げ続けています」と空軍のX-37Bプログラムディレクターであるジェセフ・フリッチェン中佐はいう。「軌道上で実験し、安全に持ち帰って地上で詳細分析できる能力は、空軍にとっても科学界にとっても価値があることが証明されました」

OTV-6と呼ばれるこのミッションでは、追加の実験装置を飛行させるための新しいサービスモジュールが初めて機体に装着された。このモジュールはX37-Bが再突入する前に切り離され、その後、廃棄されるが、おそらくそれは軌道を外れて大気中で焼失するという意味だろう。

行われたいくつかの実験の中で、宇宙で太陽光発電を行い、その電力を地上に送って利用するという試みに成功した。X37-Bは2021年10月にも、空軍士官学校で士官候補生たちが使用するための特殊な衛星も投入した。

OTV-6はNASAの実験装置も搭載しており、さまざまな材料や種子を宇宙の独特の条件や環境に暴露させることがその1つだ。

X-37Bは、これまでのミッションではより厳しい秘密裏に行われていた。OTV-6の軌道上活動を私たちがすべて知っている可能性はまだ低いが、私が記憶する限り、今回はミッションや実験について最も多くのことが公開された。

今回の帰還の陰で、中国は独自の秘密スペースプレーンプログラムの開発を始めている。小型の宇宙機が8月に発射され、現在まで数カ月間地球を周回している。前回同じような宇宙機が飛行した時はわずか2日間で終了した。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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