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「実態を知れ!」 わが師フィッシャーから学んだこと

ウォーレン・バフェットが、師匠としてベンジャミン・グレアムとともにその名を挙げるフィリップ・フィッシャー(1907~2004)。無名のラジオメーカーに過ぎなかったモトローラの株を買い、亡くなるまで持ち続けるなど、その先見の明と忍耐力で知られていた。
本記事はニューヨーク株式市場の大暴落が起きる直前の1987年10月に行われた、フィッシャーの貴重な独占インタビューである。


競馬の予想屋は2種類に大別される。スピード派とランク派だ。スピード派はたくさんの数字を手に入れたがる。専門紙を熟読し、最近のレースでどの馬が最速のタイムを出したかを調べ、馬場のコンディションや負担重量などを考慮に入れる。ランク派は数字をさげすみ、「血統と過去の対抗馬のランクを教えてくれ」と言う。

この両者に相応するものが、投資の世界にも存在する。定量的要因に重きを置くアナリストと、定性的アプローチを好むアナリストである。定量的アナリストは言う。
「PERや簿価や利回りを組み合わせて、最も割安な株を買おう」
一方で、定性的アナリストは言う。
「最良の経営者を持つ最良の会社を買い、数字のことは過度に心配せずにおこう」

幸い投資の世界では、天国に至る道は1つではない。どちらの流儀を実践しようとも、腕と洞察力があれば報われる。
幸運なことに、私は人生の早い段階で両派の優れた人物を見出せた。結果的に2人の考えを融合させて、非常に大きな利益を得てきた。
フィリップ・フィッシャーに会ったとき、私はその思想と同じぐらい、人格にも感銘を受けた。ベン・グレアムと同様、フィッシャーは謙虚で寛容な精神を持つ、並外れた教師だった。私は彼から「ゴシップ・アプローチ」の重要性を学んだ。すなわちライバル企業や取引企業や顧客のところに行って話を聞き、その業界や企業の実態を知れというやり方だ。
 
フィッシャーの手法を使ってそのビジネスを徹底的に理解し、それをベンから教わった定量的手法と組み合わせれば、人は賢明な投資を為すことができるだろう。私はフィルの書くものなら何であれ、真剣に目を通す。
皆さんにも彼をお薦めしたい。 文=ウォーレン・バフェット


——あなたにとっての中核株の基準とは?
フィル・フィッシャー:まず、いずれも生産コストが低い企業ばかりです。次に、いずれも各業界で世界一か、あるい私の物差しである「日本企業」に比肩する競争力を持つ企業であるか、です。どの企業も期待できる新製品を開発しており、平均レベル以上の経営陣を有しています。

——マネジメントを重要視しているようですが。
フィッシャー:企業を知るというのは、「結婚」と同じです。妻になる女性については、結婚してから知ることのほうが多いですよね。それと同じで、マネジメントと一緒に過ごしてみない限り、本当の意味で知っていることにはならないのです。

——景気が厳しい時期に投資したい良い企業とは。
フィッシャー:個人的には、自然科学上の発見を上手に活かしつつ、新しい市場を開拓できるメーカーには興味がありますね。小売りや金融といったほかの業界にも素晴らしい商機はあります。ただ、やはり私の得意分野は製造業です。投資で多くの人がする失敗は、知らない業界に投資することですね。

——ほかに企業のどういった点に注目していますか?
フィッシャー:顧客と激しい議論になって、彼らが「そこまで推すなら買いますよ」と折れる場合は、結果として私が正しいことが多いですね。逆に、私が「1 万株買いましょう」と言って、彼らが「いっそ5 万株買いませんか?」と積極的な場合は危険信号です。それではもう遅いということですね。
それと、市場で人気の株は買いません。テクノロジー関連の株の説明会で、会議室に人が押しかけている場合などは特に悪い兆候です。立ち席だけの説明会などは、株を買うにはふさわしくない時期と考えます。

——「逆張り投資家」という感じがしますね。
フィッシャー:じつは、私が成功している本当の理由は、「100%の逆張り投資家」ではないということです。昔、クルマが路面電車にとって代わると人々が気づいたとき、一部の逆張り投資家は「誰も路面電車株を買わなくなるだろう」という理由で買っていました。バカバカしい話です。とはいえ、常識に欠陥があることを見破れることも、投資で成功するうえでは大切な要素といえるでしょう。

——投資家の経験を通じて得た教訓で最も重要なものは?
フィッシャー:今日買った株を明日売り抜くというのは、精神的に悪いだけですよ。それでは、小さくしか勝てません。絶滅危惧種になりかけていますが、私のように長い目で見て勝負する投資家のほうが、はるかに大きな見返りを得ています。
かつて私の顧客の1 人が、「利益を得て破産したやつなどいない」というようなことを言ったのです。これは正論ですが、現実的とはいえません。確かに、利益を得れば破産はしないかもしれませんが、それはあくまですべての投資が成功することが前提になります。そこには、投資ビジネスには付き物の「失敗」が入り込む余地がないわけです。

——自分を「長く株を持ち続けるタイプ」と考えている投資家は少なくありません。
フィッシャー:数年前、私はある投資信託会社のアドバイザーを務めたことがありました。彼らのために半導体メーカー「テキサス・インスツルメンツ」の株を14ドルで購入したところ、それが28ドルになった途端に彼らからのプレッシャーが高まったのです。「とりあえず、半分売らないか? そうすれば、元は取れるぞ」という具合にですね。私にできることといえば、35ドルに上がるまで彼らを抑えることだけでした。すると、また「フィル、もう売ろう。また下がったときに買い戻せばいいのだから」という同じ展開になりました。
本当にバカバカしい話ですよ。元手を取り戻すというのも、単に心理的に安心したいからだけです。正しい投資判断だったかどうか、ということとはなんら関係ありません。
結局、売ることになりましたよ。株は数年で250ドル以上に跳ね上がりました。

——ウォーレン・バフェットは自身の哲学が85%はベンジャミン・グレアムから、15%をフィル・フィッシャーから成り立っていると語っています。グレアムとフィッシャーの違いは?
フィッシャー:投資には2通りのアプローチがあります。ベンジャミン・グレアムが確立した、あまりにも株価が低いために損しようがない株を見つける方法があります。株価は下がりようがないから、いずれ上がるという寸法ですね。
それに対して私のアプローチは、よい投資先があればいずれ必ず成長する、というものです。この長所は比較的短期間で株価が上がることです。もちろん、上がるのに時間がかかるものもありますし、見誤ることもあります。それでも本当によい株の場合は短い間に大きな上がり方をするものです。

インタビュー=トーマス・ジャフ 翻訳=町田敦夫

 

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