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2022.11.28

ウェルビーイングが今後のビジネスの主流になる理由 重要なのは顧客との関係性の「リデザイン」

右:インテグレート代表取締役CEOの藤田康人。左: インテグレート戦略コンサルティング事業本部コンサルティング部 部長の川又大二郎

世界中でウェルビーイング市場が拡大している。日本企業は先行するグローバル企業にどうキャッチアップしていくべきなのか。

インテグレート代表取締役CEOの藤田康人と同社戦略コンサルティング事業本部の川又大二郎に話を聞いた。



混迷の時代、個人の価値観が多様化するなかで、ウェルビーイングへの注目度が高まっている。インテグレート代表取締役CEOの藤田康人は、その背景をこう分析する。

「経済成長を前提とした社会が行き詰まるなか、多くの人が、自分たちはあまり幸せでないと感じています。環境の変化で自然災害のリスクが上がりましたし、依然として格差は存在し、差別もなくなりません。ダイバーシティやインクルージョンが声高に叫ばれるのは、それだけ分断が進んでいるからです。人々は自分の生き方に悩み、何を求めて生きているのかをあらためて考えざるをえなくなっています。それにコロナ禍が追い打ちをかけました」

ウェルビーイングにたどり着くのは必然だったのだ。そうした生きづらさは、人々の消費行動にも影響を与える。

「顧客にとっての究極のベネフィットは何かというと、酒を飲んで酔っ払うことやグルメを楽しむことそのものではありませんし、かっこいい車に乗ることでもありません。私たち消費者がいちばんに求めているのは『自分らしく生きる』こと。その手段としてお酒やおいしい食事やかっこいい車がある。それがウェルビーイングなのです」(藤田)

ウェルビーイングを求めるのは世界的な流れであり、関連市場は急拡大している。そうしたなかで、先行しているのは米国だ。民間保険が中心の米国では、自己負担分を支払う個人も保険負担分を支払う企業も高額な医療費に苦しいでいる。藤田によると、それを解決しようとウェルビーイングに関する多くのソリューションが誕生しているのだ。


インテグレート代表取締役CEOの藤田康人

顧客視点からの見直しが求められている


一方、公的医療保険が充実している日本では企業がウェルビーイングに取り組むモチベーションが生まれにくい。さらに企業が消費者の変化に対応しきれていないことが、ウェルビーイング産業の成長速度が鈍い要因になっていると藤田は分析する。

「多くの消費者が単純な物理的な機能だけではなく、自分らしく生きるために、どの製品やブランドを使うことがいいのか、という視点で考えるようになっています。どの企業も、製品が発売された当初は、顧客が求めている要素と製品が提供する価値がぴったりフィットしていたはずです。ところが製品を進化させる過程で企業はプロダクトアウトの発想になり、他社との差別化を意識するあまり、いつの間にか顧客を置き去りにしてしまった。顧客視点が重要なはずなのに、多くの企業がそれを見失い、迷走しているのです」

企業は、製品やサービスの機能性を高めることばかり注力しがちだが、消費者は必ずしもそれだけを望んでいないというのだ。企業は消費者との関係性を考え直すべきだと藤田は提唱する。

「企業はいまこそ、顧客視点からあらためて『パーパス』を考えなければなりません。一人ひとりの顧客に視点を向け、関係性を『リデザイン』することが必要なのです」

同社戦略コンサルティング事業本部の川又大二郎が続ける。

「多くの企業がもっと製品サイクルを早くとか、もっとおいしくといったような製品やサービスの発展にばかりに目がいってしまい、使っているユーザーの発展には目がいかなくなっています。つくり手サイドが勝手に自分たちのマーケットはこういうものだととらえ、どんどん市場をレッドオーシャンにしてしまっている。ところが消費者は変化しているので、関係性をとらえ直し、ウェルビーイングを追求することさえできれば、コモディティ化した既存の製品でも新しいマーケットの創出は可能なのです」


インテグレート戦略コンサルティング事業本部コンサルティング部 部長の川又大二郎

ウェルビーイングビジネスの先駆者に


それを実践している企業がある。例えば、ライオンは2018年、浴室用洗剤「ルックプラス」シリーズを発売し、半年で1,300万個を販売するヒット商品となった。その商品の特徴は、こすらずに浴槽を掃除できることだ。

「お風呂用洗剤は、スポンジでこすることによって汚れを落とすのが普通で、汚れがどれだけきれいに落ちるかという部分にこれまではフォーカスされてきました。ところが消費者心理を調査してみると、求めているのは必ずしもクレンジング力だけではないことがわかったのです」(川又)

専業主婦が多かった時代では、よりきれいに掃除できる洗剤が求められていたが、いまは共働きの家庭が増えている。汚れを落とすという機能的価値よりも、手間がかからないという時間的価値を重視する方向へと消費者意識は変化していた。ライオンはその声に寄り添ったの。

関係性のリデザインを実践している企業はほかにもある。住友生命保険は、健康増進サイクルを生み出すための商品「Vitality」の販売を開始した。従来の保険商品が提供する補償だけでなく、健康状態の把握から改善までを提供するリスクの予防を促す商品だ。

「従来の保険において、保険会社と加入者の接点は、加入時や保険金の支払い時が中心でした。ところがVitalityは、病気にならないことに主眼が置かれており、健 康増進のための継続的なアクションをすることで保険料が維持されたり下がったりします。リスクに備えるだけではなくて、リスクそのものを減らす。まさに顧客との関係性をリデザインしたわけです」(川又)では、企業が関係性をリデザインするにはどうすればいいのだろうか。川又はまず、自社の製品やサービスを俯瞰してみるべきだとアドバイスする。

「どうしても自社の都合だけで考えがちですが、そうではなく、少し引いて見ていかないと視野が狭くなってしまいます。自社の商品やサービスが誰とどのようにつながっているかを見直すことが重要です。その企業がもつ文化やパーパスに一度立ち戻ってみると、見失っていることが見えてくるはずです」

一方、藤田は、日本にはウェルビーイングの要素をもった文化が数多く存在するため、それをグローバルにアピールしていくべきだと提案する。

「日本食はおいしくてヘルシーですし、発酵の技術もあります。瞑想、温泉、枯山水はマインドフルネスにつながりますし、ウェルビーイングに関するキーワードは、日本の文化にもともと存在します。例えばひなびた温泉でも、欧米人にとってはウェルビーイングの聖地になる可能性があるわけです。日本にあるアセットをウェルビーイングという視点から再構築すると、海外の方に受けるかもしれません」

インテグレートが目指すのは、ウェルビーイングを足がかりに日本企業の成長を促すことだ。

「私たちが得意としているのは、顧客のインサイトや顧客自身も気づいてないような本音の断片を拾い上げていくこと。そして、既存のアセットを集めてかたちにしていくお手伝いをすることです。ひとつの商品だけではウェルビーイング視点でのビジネスにならない場合もありますが、他社の商品と組み合わせることでそれが実現可能になることもあります。例えば、健康の定義を食事、睡眠、運動とすると、それぞれを得意とするプレイヤーが一緒にチームとなって動いたほうが、より消費者が望むサービスを提供できます。私たちがそのための紹介やマッチングといったコーディネートをすることで、ウェルビーイングが日本の中でビジネスのベースになる。それを促進する、ウェルビーイングビジネスの先駆者でありたいのです」



藤田康人◎インテグレート代表取締役CEO。味の素、ザイロフィンファーイースト社(現ダニスコジャパン)を経て、2007年にインテグレートを設立し現職。

川又大二郎◎インテグレート戦略コンサルティング事業本部コンサルティング部 部長。新規事業開発支援、マーケティング戦略立案などに従事。2020年8月より現職。


『ウェルビーイングビジネスの教科書』
藤田康人、インテグレートウェルビーイングプロジェクト著/アスコム刊 新しい視点から商品の価値を見直す「関係性のリデザイン」の重要性を提唱し、その具体的な方法を掲載した、ウェルビーイングビジネスを成功へ導く指南書。

インテグレート
https://www.itgr.co.jp

Promoted by integrate / text by Fumihiko Ohashi | photograph by Shuji Goto | edit by Akio Takashiro

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