確かに取扱説明書には、主要部品の操作方法、保証情報、推奨メンテナンススケジュールなどが記載されている。しかし、それらが重要な情報である一方で、実は、その多くは必要なときだけ確認すればよいものばかりだ。
しかし、クルマやトラック、SUVを購入したりリースしたりする際に同意しなければならない、いわゆる「利用規約」についてはそういうわけにはかない。いったん署名部分にサインをすれば、購入者や賃借人は、その内容にどんな悪意があろうと、それを尊重する法的義務を負うことになるからだ。Deloitte(デロイト)の調査によると、残念ながら91%の消費者が商品やサービスの利用規約を熟読することなく、盲目的に規約内容を受け入れていることが判明している。
自動車ディーラーの財務・保険担当者が契約成立を期待して指を鳴らしている横でいっしょに、何ページも続く法律用語を完全に読み解くのには、ある種の速読術が必要なのだ。
なぜなら、利用規約は一般消費者には理解しづらい言葉で埋め尽くされているだけでなく、そもそもあまりにも長すぎるからだ。
英国のHippo Leasing(ヒッポ・リーシング)が行った調査によると、この点に関して最も量が多い会社の1つであるVolkswagen(フォルクスワーゲン)の細則は5万5326語(英語版)で綴られており、平均的な読者が目を通すのには7時間以上かかるとされている。これは、シェイクスピアの『ハムレット』を読むのにかかる時間の2倍であり、『ハリー・ポッターと賢者の石』を読み通すより1時間程度短い時間だ。
Hippo Leasingが世界的な自動車会社11社を調べたところ、平均的な利用規約は2万7606語に及び、理解するのに約3時間半かかり、これはジョージ・オーウェルの『動物農場』を読むのにかかる時間と同程度であると判明した。