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2022.11.15 10:25

ベースフードが上場 社員の起業家精神を育てる「余白の文化」

BASEFOODのCEO橋本舜(撮影=林孝典)

IPOした起業家たちはどのようなターニングポイントを経て、事業を成長させてきたのか。本連載では、上場を手繰り寄せた起業家たちの「飛躍」の出来事とその意思決定に迫る。

今回、話を聞くのは、11月15日に東証グロース市場に上場したBASE FOOD(ベースフード)代表取締役の橋本舜(はしもと・しゅん)。2016年4月に創業して、完全栄養食品の開発や販売を手がけてきた。

現在はラインナップも広がり、パンやパスタ、クッキーといったものまで揃っている。2021年3月には、コンビニエンスストアでそれらの販売もスタート。同年9月には累計1000万食を達成して、認知度を高めてきた。

BASEFOOD

上場初値は710円。2022年6月に発表した第6期決算では、2022年2月期の売上高は55億4575万円(前期比264.2%増)、当期純利益はマイナス4億6307万円。

BASE FOODを上場に導いた橋本に、

1. 創業まで
2. 創業3年まで
3. IPOまで

この3つの期間におけるターニングポイントとその際の意思決定について聞いた。


ターニングポイント1 東京大学教養学部に転部


BASE FOODがミッションに掲げるのは「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに。」。これまでにない価値観を生み出したきっかけは、橋本の大学時代にある。

橋本は、2008年に東京大学文科二類に入学。経営学を学ぶことを志し、3年次に一度経済学部に進んだが、2010年に教養学部に転部した。

「僕が大学生だった頃、iPhoneやSNSが生まれた。一方ではリーマンショックや東日本大震災といったネガティブな出来事も起きました。社会が大きく変化するのを肌で感じるなか、スタートアップ業界に入り、若いうちから新しい社会的価値をつくりたいと思うようになったんです」

2年間の教養課程を経て、3年次に進む東京大学の教養学部は、多様性のある環境が特徴だった。ハワイの「ホノルルマラソン」を研究する教授がいたり、アルフレッド・ヒッチコック(イギリスの映画監督)の映画を観賞して分析する授業があったり、外国からの留学生も多かった。

「とにかく視野が広がりました。ホノルルマラソンの研究をしても教授でいられるわけで。いま僕は、パンや麺を完全栄養食にするという、存在しなかったものをつくっていますが、おかげで『これだって、まともなビジネスにできる』と何の疑いも持たずにスタートすることができました」

橋本は、大学卒業後はDeNAに入社。1年目から新規事業の立ち上げなどを担当し、そこでもスタートアップを経営するための素地を形成した。
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文=露原直人 撮影=林孝典

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