W杯期間中の投稿が検閲される?
カタールにおけるツイッターの月間アクティブユーザー数は、約60万〜70万人程度だが、ワールドカップ期間中は120万人もの観光客が訪れると予想され、多くのファンがツイッターで現地の模様をツイートすることになりそうだ。フランスのスキーマ・ビジネス・スクールのサイモン・チャドウィック教授は、「カタール政府が投稿の内容を検閲することも、決して考えられなくはない」と指摘した。
フォーブスがカタール投資庁の提出書類とPitchbook上の投資案件を調べたところ、同ファンドが投資した唯一のソーシャルメディア企業がツイッターであることが判明した。3億7500万ドルの出資は、運用総額が4600億ドルを超えるファンドにとっては少額だが、なぜツイッターを投資先に選んだのかは不明だ。
ニューヨークタイムズ(NYT)は、11月7日の記事で、カタール政府内のワールドカップのオーガナイザーが一部の外国人ファンに対し、行動規範を遵守するように求めていたと報じた。彼らは、ファンたちに対し、不適切な投稿を見た場合、スクリーンショットを添えて報告するよう要請したという。
カタール政府は過去にも、自国に関するネガティブな投稿を取り締まったことがある。2021年5月に当局はケニア人の労働問題の活動家を逮捕した。アムネスティ・インターナショナルによると、彼は偽名を使ってカタールでの労働問題をツイートしていたが、当局は彼のスマホにフィッシング攻撃をしかけ、逮捕したという。さらに、同年8月に当局は、選挙の法律についてSNS上で発言した7人を「偽ニュースの拡散」で逮捕した。
今回のワールドカップは、マスクのリーダーシップが試される場になると同時に、カタール政府がツイッターにどのような影響力を行使するかを知る機会になりそうだ。ウェドブッシュ証券のアイブズは、「ツイッターの対応が論争の火種となり、ワールドカップがガソリンを注入するかもしれない」と述べている。
(forbes.com 原文)