2022年最後のFRB金利決定まで約1カ月、その注目すべき点

Fed Chair Jerome Powell(Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げに関して、2022年は劇的な1年となった。そして、今年の会合はまだあと1回残っている。再び利上げの決定がなされるのは確実だが、先物市場の見方では、上げ幅が0.5%になるのか、それとも0.75%になるのかは微妙なところだ。決定は、12月14日の午後2時(米東部標準時)に予定されている。

今後発表されるデータ


会合前に、経済に関する多くのデータが発表される見込みであり、これらは12月の決定に影響を与える。最も注目すべきは、インフレと雇用だ。

インフレのデータ

まずは、11月のインフレに関して、生産者物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)、個人消費支出(PCE)などが発表される。当然ながら、米国のインフレ率はFRBの目標値を大きく上回っている。

残念だが、11月のインフレに関する予測は喜べるものではない。予測が正しければ、インフレの勢いが依然として衰えないことから、FRBは、より大きな0.75%の利上げに傾くかもしれない。ただし、インフレ率が予測を下回る可能性や、あるいは、FRBが各種データからインフレの沈静化の予兆を見いだしたりする可能性もないわけではない。

雇用データ

次に、労働市場の現状に関する各種データがある。最も重要なのはおそらく、12月2日に発表される雇用状況リポートだろう。これまでのところ、2022年の労働市場は、事前予測よりも堅調を維持してきたが、直近の雇用状況リポートからは悪化の初期徴候がうかがえる。

雇用状況が悪化し始めれば、FRBはこれを懸念するだろう。米国の雇用を維持することは、インフレの統制と並ぶ、彼らの責務のひとつだからだ。労働市場の悪化は、2022年の利上げが、すでに起こっている住宅市場の低迷にとどまらず、経済全体に広範な影響を及ぼしているサインかもしれない。

したがって、雇用に関するデータが悪化すれば、FRBは、利上げ幅を相対的に小さい0.5%に抑えるように傾くかもしれない。

今後の談話と会合報告


満場一致で決定された11月の利上げは、0.75%増という大幅なものだった。しかしFRBは、現状が、望ましい金利の上限に近づきつつあることを認めてもいる。あまりに長期間にわたって高い金利が続けば、不必要な苦痛が生じるほか、現在も比較的大きい政府債務が、さらに増加する結果にもつながりかねない。

11月のFRB会合議事録および談話からは、今サイクルにおける金利のピーク水準がどこにあるかを見極めるヒントが得られるだろう。FRBは依然として緊縮財政を望んでいるが、その達成のために、金利を高水準で固定して、経済への影響を見極める方法をとるかもしれない。これは、インフレが収まるまで金利を上げ続けるよりも洗練されたやり方だ。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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