ビジネス

2022.11.15

グローバル経済で「主流化」が加速。日本でもインパクトエコノミー第二章へ

IMPACT ECONOMY


本質的なインパクト創出へ


インパクトエコノミーを外圧へのリアクションや流行で終わらせず、実体化させるために、SIIFは22年、戦略でフォーカスする対象を「手法」から「課題」へとシフト。インパクト投資の手法を広めることへの注力から、今後は機会格差、地域活性化、ヘルスケアの3領域で、本質的なインパクト創出に取り組む。

「インパクト市場の加速度的な拡大で、『インパクト投資とは、なんだろう』というフェーズから『インパクト投資は、本当にインパクトが出るのか』を問われるフェーズに移行している。医療、介護、地域経済などにインパクトをちゃんと届けるために、SIIFが開発・実験してきた手法を総動員。しっかりリソースを割く戦略にかじを切った」

さらにSIIFはインパクト投資のエコシステム形成の担い手として、実践知づくり、場づくりにも取り組む。22年6月、インパクトエコノミーラボを新設。グローバルな最先端の知見を収集し、3つの課題領域へ投入。そこで得た実践知をもう一度ラボに戻しインパクトエコノミーの新しい知として社会に共有する構想だ。

場づくりにも、ビジョンをもって取り組む。20年に実験的に実施した、地域に新たな資源循環を生み出すことに挑戦する事業者を対象としたアクセラレータープログラム「ハルキゲニアラボ」もそのひとつだ。

「経済の本流では、インパクト化が進んでいるが、従来の経済活動のなかからでは、システムチェンジの種は出てこない。社会で共同的に、システムチェンジのためのふ化装置づくりが必要だ」

インパクト創出実践と共有知化──インパクトエコノミーの本質化に向け、これからも戦略的に打つ手を放ち続ける。


くどう・ななこ◎一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)常務理事。2011年に日本財団に入所、ソーシャル・インパクト・ボンド事業、GSG国内諮問委員会などに携わる。17年4月より現職。インパクト投資全般の企画・推進をリード。

文=フォーブス ジャパン編集部、イラストレーション=MUTI、写真=平岩亨

この記事は 「Forbes JAPAN No.097 2022年9月号(2022/7/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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