ビジネス

2022.11.15 17:30

エアークローゼットのビジョン浸透術 起業前に行動指針を確立 #2

露原直人

エアークローゼットCEOの天沼聰

月額制ファッションレンタルサービス「airCloset」を中心に展開し、サブスクの先駆け的存在とも言えるエアークローゼット。2022年7月には東証グロース市場へのIPOも果たし、急成長を続けている。

同社代表取締役社長 兼 CEO 天沼聰(あまぬま・さとし)氏に起業家の素養、事業成長のポイントなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの伊藤紀行が聞いた。(全3話中2話)

第一話:7月上場の「エアークローゼット」 CEOが考える起業家の3つの素養 #1


「循環型物流」を支える専門チーム


──御社の物流ロジスティクスのノウハウは非常に差別性に繋がっているのではないかと思います。事業の差別化を図るうえで工夫されているポイントがあればお聞かせください。

差別化する、というよりも、とにかくサービスをより良くしていきたい一心でやってきました。

サービスを良くしていく一つの要素として、物流ロジスティクスの要素が大事になることは当初からわかっていました。レンタル型で返却が発生するのはもちろんのこと、返却されたお洋服をクリーニングし、また在庫として戻す独特の循環フローが発生するからです。

サービス開始前に、成長するための体制図を描いたのですが、最初から物流の業務フロー改善をミッションとする「物流チーム」をイメージしていたほどです。

──業務を担うのでは無く、改善することをミッションとしているチームなのですね。

例えばクリーニング。

クリーニング自体の品質や業務についてはパートナー企業様がプロフェッショナルでいらっしゃるので信頼をしていますが、「airCloset」との連携を考えた時には改善できる部分が多々あります。

私たちが改善の提案をしていくことで相乗効果が増すと考え、専門チームによってパートナー企業の現場に入り込み、改善活動を続けています。時にはクリーニングの現場に足を運び、実際に汚れ落としも実施しながら改善点を洗い出すこともしたりもします。

結果的として、私たちの「循環型物流」の仕組みは単なるパートナーシップを超え、物流の特許も取得できるほどの独自の形に進化しました。

必要だと思ってずっと続けてきたことが、結果的に差別性に繋がったという形です。
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文=伊藤紀行 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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