ビジネス

2022.11.14

7月上場の「エアークローゼット」 CEOが考える起業家の3つの素養 #1

エアークローゼットCEOの天沼聰


最後の「好奇心」は生まれ持ったもの、そして学生時代の原体験に遡るかもしれません。

私は高校進学時に単身で海外に渡るなど「好奇心」をもとに行動した結果、様々な価値観を知ることができました。

今の会社の組織づくりで中心に据えているのが「一人一人価値観が違って、その全てが正しい」という考え方ですが、この考えを心底正しいと信じられるのも、価値観が違う場所に「好奇心」で飛び込んで生活してみたからこそだと感じています。

その成功体験があるからこそ、今でも何事にも「好奇心」を持って、取り組み続けることができているように思います。

──サブスク型のビジネス先例が日本に無い中で、なぜ継続し続けられたのでしょうか?

手段よりも目的を大切にしてきたからかもしれません。

創業期から今も変わらず大切にしている目的として「お客様の時間価値を最大化する」というものがあります。

その目的を達成するための手段としてファッションレンタルのサブスクリプションサービスが生まれました。

ビジネスモデルやテクノロジーといった手段ではなく、目的を信じること。これが事業を継続する上で重要なポイントだったのだと思います。

──御社は3名で共同創業されています。共同創業者間で仲違いしてしまうスタートアップも多い中で、うまく継続してこられた理由があればお聞かせください。

実は最初から「3人で起業する」と決めていました。私は意見を出し合いたいタイプなのですが、2人だと喧嘩してしまうかもしれない。3人なら常にもう1人がバランサーになれるから、バランスが良いと考えました。

これまで3人で続けてこられた理由を挙げると、まずは「価値観の共有」。

私は前々職のコンサルファーム時代の仲間2人を誘って創業しているのですが、その2人を選んだ軸は「価値観が合っている」から。徹底的に価値観を共有しあった仲間だからこそ、少々の意見の違いは乗り越えられると考えました。

もう1つの理由は「3人は横一線ではなく、私が最後は意思決定する」と最初に決めたこと。要は「意思決定者の明確化」です。

価値観が近くても性格はバラバラなので、意思決定の選択肢もたくさん出てきます。それを望んで3人で起業したわけですが、「最終的な判断は私がする」ということだけは最初に話をして共同創業しました。

その代わり、意思決定権者を決めるということは、意思決定する私には決断に至った理由を残り2人が理解するまで徹底的に説明する責任があります。

全員が納得までは出来なくとも、合理的であると理解してもらう。そこまではとことん話し合うと、最初に3人で決めました。

まとめると「価値観の共有」「意思決定者の明確化」「説明責任を果たす」の3つが、複数人での共同創業を継続する上で重要だったと感じています。

文=伊藤紀行 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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